品川区の教育事情……品川教育ルネサンス -For The Next Generation-

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 東海道の第一宿として江戸時代より栄えた品川の地。JR品川駅の所在は、品川区ではなく港区ではあるものの、区内には14の鉄道路線が通り、40の駅があるなど、東京の交通の要衝という地位に今も変わりはありません。

 さて品川区は、義務教育学校の運営で、全国の最先端を歩む区としてもその名を馳せています。経済分野での規制緩和を目的に、平成15年(2003年)から「構造改革特別区域」が認定されることになりましたが、時の教育長の思惑もあり、品川区では教育の分野での規制緩和となる「教育特区」に名乗りを上げました。結果として、15年8月に認定されると、「小・中一貫特区」として、学習指導要領に依らない教育施策を始めるようになりました。

 具体的には、品川区立の全小・中学校をコミュニティースクールに指定し、学識経験者や地域住人を学校経営に参画させています。例えば、第二日野小と日野中を統合して平成18年に発足した日野学園は、全国初の小・中一貫校で、その後に豊菜の杜学園まで6校の一貫校が誕生しましたが、平成28年からは9年制の義務教育学校として運営されています。義務教育学校では、児童・生徒の発達段階や、小学校と中学校のギャップを考慮して、「6・3制」に代えて「4・3・2制」を採用し、後期課程となる5年生からは教科担任制を取り入れていますが、基礎学力を確実に身につけさせることや、不登校生を減らすことにどれだけ役だっているかは定かではありません。また、新設校ということで、各校とも施設面は充実しているようですが、9年間を同じメンバーで過ごすことで、児童や生徒の精神的な成長に課題があるという話も聞かれます。

 「教育特区」ということで、学習指導要領に代わり、「品川区立学校教育要領」に基づいて、放課後や長期休業期間に全校で実施する「品川地域未来塾」や、品川区独自の教科「市民科」、小学1年生からの英語教育など、さまざまな取り組みがなされていますが、都教委から転じた元教育長の単なる「打ち上げ花火」ではないかという噂もあります。

 なお、品川区が独自に採用し、他区市への異動の無い「固有教員」制度による教員は別として、教育施策が極端な品川区への採用や異動(転入)に、拒否反応や落胆を示す教員が少なくないという話もよく耳にします。

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