新宿区の教育事情……多文化共生の最先端

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「新宿」と聞くと、「日本一の歓楽街」という、(やや好ましくない)イメージばかりが強調されがちですが、実は児童・生徒の学力は高く、保護者の教育熱の高い地域です。その裏付けとして、都立日比谷高校が東大合格者数日本一を謳歌していた時代に、日比谷高を追随し、毎年100名を超す東大合格者を輩出した都立戸山高校、都立新宿高校という2校のナンバースクールを抱える区は、新宿区以外にはありません。

 さて、児童・生徒数の減少から、新宿区でも中学校の統廃合が実施され、現在は牛込一中から新設校である新宿戸山中まで10校の公立中学校がありますが、牛込地区の3校と落合地区の2校は統合を免れています。その結果、校舎から体育館まで冷房が完備するなど、施設や建物については統合による新設校では全般に新しく、伝統校の場合はやや古めかしいという違いが生じています。

 また、学校規模の適正化を図ることを目的として、平成16年度から学校選択制が導入され(小学校については中止)、令和2年度では牛込三中・西早稲田中・新宿戸山中の3中学が抽選対象校となりました。新宿区教委としては、小・中学校ともに12学級以上を学校の適正規模と考えていましたが、中学校で12学級を維持しているのは、抽選対象校となった新宿戸山中だけです。しかし、最小規模の中学でも生徒数が160、学級数が6と、一つの学年が単学級となるような学校はありません。

 なお、区内の人口の1割以上が外国籍ということで、新宿・戸山地区の中学校には外国籍や外国籍の保護者を持つ生徒が殊に多く、区内全域の学校は「多文化共生」という状況にあり、異文化理解が進む環境にあります。また、「ブラック」とされるような校則は見当たらず、いじめや暴力行為もほとんど見られず、どの学校も評判は上々です。

 区立中学の難点をあえて挙げれば、新宿や戸山という地名への愛着や執着からか、新設校がそれらにちなんで名付けられていることです。結果として、新宿中、新宿戸山中という校名を聞いただけでは、両校の違いや位置関係が新宿区民以外には分かりにくいままです。

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