東京都文京区の教育事情……小・中学校の適正配置

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 「文(ふみ)の京(みやこ)」を標榜する文京区には、現在、区立幼稚園が10園、同小学校が20校、中学校が10校と、覚えやすい数の学校(園)がある。 

 その中で中学校に注目すると、中学校は、新制中学として昭和22年(1947年)に第一中から第九中というナンバースクール9校が創立された。その後、第十一中以降は、文林中、茗台中など校名が地名や地形に基づく学校が誕生し、12校の中学校が切磋琢磨して区内の義務教育を担っていた。

 しかし、子ども(児童)の数の減少や、私立中学への進学者の増加(こちらの影響のほうが大きい)等で、中学校の小規模化が顕著となり、中には全ての学年が単学級だったり、新入生がゼロだったりという学校が現れ、ついには2度の統合を経て平成21年度より現在の10校体制となった。

 では、その統合で文京区立中の学校規模の適正化が図れたかというと、文部科学省が適正とする、12学級以上18学級以下という基準を満たしている中学校は、ない。実際、令和元年度には、小学校20校の第6学年に約1,400名の児童が在籍していたが、区立中学校に進学したのは約750名、率にして約54%、総学級数は23だった。

 750名という数字から、各中学校に70名程度の新入生があると思われるかもしれないが、文京区では学校選択制を導入しているため、どの中学校も安穏としてはいられない。1学級の定員、つまり、40名、80名を超す入学が確定すれば問題ないが、それを下回った場合は、教員や学校にとって突然の、そして、不本意な異動が発生することになる。

 文京区の大規模(?)中学校の学級数は9だが、私立中学志向の強い文京区では、区立中を私学の「滑り止め校」と考えてか、学校選択制の弊害は大きい。例えば、300名を超す希望者を集める人気校(?)でも、入学者が100名を下回ることも珍しくなく、1学年2学級を常とした学校が、いつ単学級化するかもわからない。

 通学区域を復活させ、全ての中学校を1学年2学級化してはどうかという意見や、中学の統合を新たに進め、近隣区に倣い、全部で5~6校に集約したほうがいいのではないかという提案もあるが、現状を変更しようとする動きは見られない。

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