私立中学校の政策と指導方針からの学校評価 【学校教員の視点での私立中学校評価基準】

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記事概要 教員の視点での、東京都内の私立中学校の評価基準を解説します。この記事が、私立中学校を受験する児童や保護者、私立学校に勤めようと思う人の参考になれば幸いです。今回は、私立中学校の見学会や説明会に行った際の、学校経営方針から見ての学校評価の仕方を解説していきます。                          
学校見学に行った際の学校教員の評価(前回記事)はこちら

学校見学に行った際の学校教員の評価 【学校教員視点での私立中学校評価基準】
記事概要 教員の視点での、東京都内の私立中学校の評価基準を解説します。この記事が、私立中学校を受験する児童や保護者、私立学校に勤めようと思う人の参考になれば幸いです。今回は、私立中学校の見学会や説明会に行った際の、生徒指導の実態と学校の教員...
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妥当ではない学校経営方針

自主性を重んじる

 学校の方針として、「自主性を重んじる」「主体的に勉強する生徒を育てる」「アクティブラーニングを推進する」「自由な校風」というような教育方針や教育哲学を提唱している学校があります。素晴らしい理念です。立派な人になるかもしれません。しかし、これは「勉強」には当てはまらないことかもしれません。

 子どもに関する真理の一つに、「子どもは自分で勉強しない」というものがあります。もちろん児童生徒が主体的に勉強してくれれば、教員に苦労はありません。しかし、公立小中学校では、主体的に勉強する子どもは1割程度です。正直言って、「『アクティブラーニング』なんてくそくらえ」ですね。「なめんなよ、文部科学省」って感じです。

 愚痴や暴言はさておき、偏差値が高い私立中学校の生徒であれば、「自主性を重んじる」の教育方針は合理的で効率的かもしれません。教育方針が合う子どもにとっては、子どもの才能を開花させる最適の場所でしょう。しかし、「自主性」が通用するのは「偏差値が高い学校」のみです。偏差値が50前後もしくは50以下の学校であれば、主体的に勉強する生徒はほとんどいません。偏差値が高くない学校で「主体的に勉強する生徒を育てる」なんていうのは、学校の罠です。まあ無理で不可能な話です。

 私立学校の中には「生徒が学校で勉強するために、20時まで図書室が開いている」や「誰でも英語を話せるような空間、放課後のフリー英語ルーム」というようなことを学校の魅力として発信している学校があります。偏差値の低い学校では、これらの政策は無意味です。偏差値の低い学校では、自主的に勉強する生徒が少ないので、だれも図書館を使わない、だれも英語を話そうとしない、というのが実際で、施設や制度を充実させても結果に現れません。

 私立中学校受験をするような子どもの保護者には、子どもが偏差値の高い大学に進学することを願っている人が多いと思います。中学受験の延長線上で偏差値の高い大学への進学を希望するなら、生徒の自主性に任せる教育方針はあてになりません。子ども本人の意向はどうであれ、強制的に勉強させたほうが学力は伸びるはずです。「自由な校風」は偏差値が高い学校でのみ通用するものだと覚えておきましょう。偏差値が低い私立中学校の「主体的な学習」はまともな話ではないですし机上の空論ですので気を付けましょう。

「進学コース」の現実

 私立中学校の中には、学年が上がるにつれ、文系と理系という分け方ではなく、「進学コース」「特進コース」というような分け方をしている学校があります。偏差値が高い私立中学校の話はさて置き、偏差値が低い私立学校の「進学コース」あるいは「難関私立・国立大学進学を目指さないコース」の進学先は、かなり悲惨な可能性が高いのが実態です。

 偏差値の低い私立学校の「進学コース」では、大学受験をして偏差値の高い大学に進学するほどの学力が身につかないので、大学に行きたいのなら指定校推薦を利用することになる場合がほとんどです。なお、偏差値の低い私立学校には有名な大学からの推薦は来ないので、名前も聞いたことのないような私立大学に進学するしか選択肢がなくなります。結果として、わざわざ私立中学校受験をしなくても、公立高校からさほど勉強をしなくても進学できるような大学にしか進学することはできません。

 「偏差値の高い大学への進学率が高い、評判がいい学校」への進学を期待して私立中学校受験をする児童や保護者が多いわけですが、この現実を受けて、果たして偏差値が低い私立中学校受験をする必要はあるでしょうか。個人的には甚だ疑問ではあります。

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