記事概要 令和6年度の東京都公立学校教員採用試験{令和6年度東京都公立学校教員採用候補者選考 (7年度採用)}の教職教養の問題解説をしていきます。けれど、間違った解説もあるかもしれませんので、鵜呑みするのは避けたほうがいいと思います。なお、間違った解説につきましては、発見次第、私Garudaに教えていただけると幸いです。
前回記事はこちら
参考
教職教養の問題はこちら
https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/pdf/exam/mondai00.pdf
教職教養問題の答えはこちら
https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/pdf/exam/seito00.pdf
問21
心理検査に関する記述として適切なものは、次の1 〜5 のうちのどれか。
1 文章完成法とは、あいまいな図版を見せて自由に物語をつくらせ、その内容からパーソナリティを捉えようとする検査である。
2 TATとは、不完全な、あるいは未完成な文章を刺激とし、それに対する自由な反応を求めて被検者のパーソナリティを判断しようとする検査である。
3 ロールシャッハ・テストとは、図版に印刷されたインクのしみについて、それが何に見えるのか答えてもらい、被検者が外界の刺激をどのように取り入れ、意味づけ、反応するのかをみる検査である。
4 P-Fスタディとは、「木」を描いてもらい、紙の上で木の描かれた場所や、木の大きさ、木の形などによって被検者のパーソナリティについて解釈する検査である。
5 バウム・テストとは、テストに使用されるカードに2名の人物が漫画風に描かれ、左側の人が右側の人に欲求不満状態を引き起こさせるような問題場面になっており、被検査者は右側の人になったつもりで、吹き出しに入る言葉を考える検査である。
答えは3です。
解説 教育心理に関する、よく出る問題です。暗記問題ですので、正解できるようがんばりましょう。
問21の選択肢の解説
1 文章完成法は、不完全な文章を提示し、被検者にそれを完成させることで、パーソナリティを評価する検査方法です。問題文は、TAT(主題統覚検査)の説明に近いものです。
2 問題文は文章完成法の説明です。TATは、あいまいな図版を見せて自由に物語を作らせる検査方法です。
3 ロールシャッハ・テストの正しい説明です。インクのしみを見て何に見えるかを答えてもらい、被検者の知覚や思考のプロセスを分析します。
4 問題文はバウム・テストの説明です。P-Fスタディは、欲求不満場面での反応を測定する検査です。
5 問題文はP-Fスタディ(Picture-Frustration Study)の説明です。バウム・テストは、「木」を描いてもらい、その特徴からパーソナリティを解釈する検査です。なお、バウムは、バウムクーヘンのバウム(木)と同じ意味です。
問22
教育評価に関する記述として適切なものは、次の1 〜5 のうちのどれか。
1 個人内評価とは、児童・生徒一人一人のもつ各種の学力や能力を個人内で相互に比較する評価である。この評価は横断的個人内評価と縦断的個人内評価の2つに分けられる。
2 絶対評価は、教師がここまでは到達してほしいと期待している主観的な評価基準に照らして評価される到達度評価と、あらかじめカリキュラムなどによって具体化されている到達水準に対応して設定された客観的な評価基準に照らして評価される認定評価の2つに分けられる。
3 診断的評価とは、授業や単元の途中で行う評価のことである。その目的は、教師にとっては自らが行った授業がどの程度、学習者である児童・生徒に理解されているかを把握し、即時的な授業の改善を図ることにある。
4 形成的評価とは、授業や単元のあと、あるいは学期末や学年末に、それまでの学習内容の習得状況をみる評価のことである。
5 総括的評価とは、ある特定の集団のなかで他の児童・生徒と比較してどのような位置や順位にいるのかを、集団の資料をもとに相対的に評価するものである。
答えは1です。
解説 あまり見ない問題ですが、教員であれば知っておいたほうがよい問題でしょう。
問22の選択肢の解説
1 個人内評価の正確な説明です。個人の様々な能力を相互に比較する評価方法で、横断的(同時期の異なる能力の比較)と縦断的(同じ能力の時間的変化の比較)に分けられます。
2 絶対評価は、あらかじめ設定された基準に基づいて評価する方法であり、主観的な基準に基づくものではありません。
3 問題文は形成的評価の説明です。診断的評価は、学習の開始前に行われ、学習者の準備状態や前提知識を把握するために行われます。
4 問題文は総括的評価の説明です。形成的評価は、学習過程の途中で行われ、学習の進捗状況を確認し、必要に応じて指導方法を調整するために行われます。
5 問題文は相対評価(集団準拠評価)の説明です。総括的評価は、学習の終了時に行われ、学習目標の達成度を総合的に判断するための評価です。
問24
次の記述ア〜ウは、「東京都教育施策大綱」(東京都 令和3年3月)に示された「3つの『学び』」である。また、下のA〜Cは、「3つの『学び』の具体的な考え方」に示された内容に関するものである。ア〜ウと、A〜Cとの組合せとして適切なものは、下の1 〜5 のうちのどれか。
ア 子供の個性と成長に合わせて意欲を引き出す「学び」
イ 子供の成長を社会全体で支え、主体的に学び続ける力を育む「学び」
ウ ICTの活用によって、子供たち一人ひとりの力を最大限に伸ばす「学び」(教育×DX)A 学習データ等の活用により、エビデンスベースの最適化された学びを提供するとともに、蓄積されたビッグデータを教育施策へ反映・展開していきます。
B 学校においては、社会の動向や進化するデジタル技術の状況を踏まえ、それらを柔軟かつ適切に組み合わせて活用し、一人ひとりに最適な学びを提供していきます。その中で、教員がファシリテーターとして、子供たち一人ひとりの意欲を引き出し、探究的・主体的な学びを導き、教育の質を向上させていきます。
C 学校において、外部の人的・物的資源を積極的に教育活動に取り入れ、社会とのつながりを深めていくとともに、子供たち一人ひとりのおかれた様々な状況に応じて、社会全体で子供たちを支え、多様な学びの場を創出していきます。1 ア-A イ-B ウ-C
2 ア-A イ-C ウ-B
3 ア-B イ-A ウ-C
4 ア-B イ-C ウ-A
5 ア-C イ-A ウ-B
答えは4です。
解説 文章をよく読めばなんとか解けるかもしれない問題です。まず、カタカナとアルファベットの組み合わせに注目し、アの「学び」がA・Bどちらに該当するかを確認します。
問24の選択肢の解説
ア「子供の個性と成長に合わせて意欲を引き出す『学び』」
これは選択肢Bの内容と最も一致しています。Bでは教員がファシリテーターとして子供たちの意欲を引き出し、個々に最適な学びを提供することが述べられています。
イ「子供の成長を社会全体で支え、主体的に学び続ける力を育む『学び』」
これは選択肢Cの内容と最もよく合致します。Cでは社会全体で子供たちを支え、多様な学びの場を創出す
ウ「ICTの活用によって、子供たち一人ひとりの力を最大限に伸ばす『学び』(教育×DX)」
これは選択肢Aの内容と最も一致します。Aでは学習データやビッグデータの活用、つまりICTを用いた教育のデジタル化(DX)について述べられています。
したがって、正しい組み合わせは:
ア-B、イ-C、ウ-Aとなり、これは選択肢の4に該当します。
問25
学習指導要領の改訂に関する次の記述ア〜エを、改訂された年代の古いものから順に並べたものとして適切なものは、下の1 〜5 のうちのどれか。
ア 学校教育法施行規則を改正し、学習指導要領は教育課程の基準として文部大臣が公示するものであると改めた。また、学習指導要領の改訂において、小学校、中学校に道徳の時間を特設して、道徳教育を徹底して行うようにしたり、教育課程の最低基準を示し、義務教育の水準の維持を図ったりした。
イ 多くの知識を教え込むことになりがちであった教育の基調を転換し、児童・生徒に自ら学び自ら考える力を育成することを重視した教育を行うことが必要との観点から、総合的な学習の時間の創設のほか、各教科において体験的な学習や問題解決的な学習の充実を図った。
ウ 知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視することなどを基本方針とし、小学校の国語、社会、算数及び理科、中学校の国語、社会、数学、理科及び外 国語の授業時数を増加するとともに、小学校第5学年及び第6学年に外国語活動を新設した。
エ 我が国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視するとともに、世界の文化や歴史についての理解を深め、国際社会に生きる日本人としての資質を養うことなどを方針とし、小学校第1学年及び第2学年に生活科を新設した。1 ア → イ → ウ → エ
2 ア → エ → イ → ウ
3 イ → ウ → エ → ア
4 イ → エ → ア → ウ
5 エ → イ → ウ → ア
答えは2です。
解説 学習指導要領の歴史についてまとめている記事があるので、そちらを確認してください。なお、この問題でも、ア~エの配置に注目すると、一番手の出現数からアまたはイが古いものと考えられます。二番手に注目すると、エが2か所に現れます。
年代別学習指導要領の流れの参考
問25の選択肢の解説
ア:この記述は1958年(昭和33年)の学習指導要領改訂を指しています。道徳の時間の特設と、学習指導要領の法的拘束力の明確化が特徴です。
イ:この記述は1998年(平成10年)の学習指導要領改訂を指しています。「生きる力」の育成を重視し、総合的な学習の時間が新設されました。
ウ:この記述は2008年(平成20年)の学習指導要領改訂を指しています。知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視し、授業時数の増加や小学校での外国語活動の導入が行われました。
エ:この記述は1989年(平成元年)の学習指導要領改訂を指しています。国際化への対応と伝統文化の尊重が強調され、小学校に生活科が新設されました。
これらを時系列で並べると:
ア(1958年)→ エ(1989年)→ イ(1998年)→ ウ(2008年)
となり、正しい順序は選択肢の2となります。
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