間口が広がっていく教員採用試験 【東京都教員採用試験の6年度採用の選考方法の見直し】

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記事概要 令和 5 年度東京都公立学校教員採用候補者選考(6 年度採用)における選考方法の見直しが行われました。これによる教員採用試験受験者への影響、学校現場への影響、見直しが行われた背景などについて考察します。今回は、東京都の教員になるための間口が広がっていることについてです。

参考資料はこちら

https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/pdf/r5/%E5%85%A8%E4%BD%93%E7%89%88.pdf

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必要のなかった集団面接 【東京都教員採用試験の6年度採用の選考方法の見直し】
必要のなかった集団面接 【東京都教員採用試験の6年度採用の選考方法の見直し】 記事概要 令和 5 年度東京都公立学校教員採用候補者選考(6 年度採用)における選考方法の見直しが行われました。これによる教員採用試験受験者への影響、学校現場への...
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見直された教員採用試験の詳細

 今回の選考方法見直しの中で、特筆する点をピックアップします。

     

  • 大学3年生前倒し選考……大学3年次等に、前倒しして一次選考の教職教養と専門教養を受験できるようになりました。
  • 東京都公立学校正規教員経験者のカムバック採用……東京都の中途退職者を対象に一次選考を免除するカムバック採用を新設しました。
  • 社会人特例選考における年齢要件の緩和……社会人特例選考(特例選考⑥)の年齢要件を 40 歳以上から 25 歳以上に引き下げました。

 では、それぞれ内容を確認していきましょう。

大学3年生前倒し選考

 今回の最大の変更点ではないでしょうか。変更された理由としては、「教員になることを少しでも考慮している学生の囲い込み」が考えられます。しかし、「つまるところ、論文試験に受からないような人材はいつになっても教員になれない」「能力がある人間が増えるわけではない」「能力がある人材は、前倒し受験しなくても、教員採用試験は合格できる」でしょうから、有能な人材が教員になるわけでもなく、また、教員採用試験の倍率が上がるようなことはないでしょう。結局のところ、良くも悪くも何の波風も立たない仕組みの変更、という扱いになりそうです。

東京都公立学校正規教員経験者のカムバック採用

 カムバック採用試験を受験できる人の条件に、
「過去に、東京都公立学校の正規任用教員として、3年以上の勤務経験がある者のうち、平成26年3月31日以降に退職した者」
とあります。そもそも、この制度で東京都の教員にカムバックする人間は、どれほどいるものでしょうか。平成26年以降に退職かつ3年以上学校教員として勤務経験のある人は、今は30代で他業種にいる人材です。3年以上東京都の公立学校で働いた経験のある人で、一度教員を辞めて、もう一度教壇に立とうと思う人ってどんな人でしょうか。

 3年以上働いて教員を辞めるような人は、教職に見切りをつけた人間以外に考えられません。病気の治療などのやむを得ない理由でもない限り、カムバック採用で入ってくる人材は、どう考えても人間的に難がある人材に違いありません。体調に難があって教員を辞めてしまった教員は、復職しても病気などが再発する可能性も高いでしょう。となると結果として、現場の負担が大きくなる可能性も十分にあります。

 いずれにしても、カムバックしてくる教員は役に立たない可能性が非常に高いでしょう。

社会人特例選考における年齢要件の緩和

 この選考の詳細には、
「民間企業、官公庁、国公私立学校等において、令和5年3月31日までに、通算して2年以上の勤務経験がある者
勤務経験は、常勤、非常勤(アルバイト、パート)であることを問わない」

という補足があります。もう、25歳以上であればだれでもウェルカムという感じです。

 これに加え、
「免許を保有しない者の受験制度あり」
というおまけつきです。今日において、いかに教員になりたい人がいないかが露呈されています。

無能な教員ばかりが増え、優秀な教員は増えない

 間口を広げることはいいことなのかもしれませんが、せっかく広げた間口に対して、期待の人材は理想どおりには入ってこないでしょう。繰り返しますが、間口を広げたところで「いい人材が入ってくる」わけではありません。よくわからん変な奴が学校の世界に入ってくるのが関の山でしょう。簡単に解雇できない公務員という仕事に、無能な人間を簡単に投入させると、学校現場に悩みの種が増え、余計な仕事が増えるだけでしょう。

 一方で教育委員会は、昨今の「教員」という職に対しての需要と供給のバランスを的確に分析できておらず、このままでは、学校現場は疲弊していくだけです。

 現場を苦しめているのは誰なのでしょうか。

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