記事概要 公立学校の教員は地方公務員であり、教諭から校長まで、職に応じた給料表が公表されています。今回は、教員の役職や金回りについて解説していきます。
真の必要性が問われる公立学校教員の役職
昔から教員は総じて「先生」と呼ばれます。先生の職に関しては、校長・教頭・教諭という職制が長く続きました。けれど今は、東京都を例にすると、統括校長・校長・副校長・教頭・主幹教諭・指導教諭・主任教諭・教諭など、その違いが正しく理解されていない職が多数あります。ただし東京都では現在、教頭職への任用はありませんし、「主任教諭」というのは、道府県とは一線を画したいというスタンスの、「へそ曲がり」の東京都が設けている職で、法的な根拠はありません。『そもそも日本全国に存在する公立学校がある中、東京都だけで採用している「主任教諭」という職は本当に必要な職なのでしょうか。必要性の高い役職であれば、教育の質を上げるためにも、自然と日本全国に設置される役職になるのではないでしょうか』と私Garudaはこれまで訴えてきましたが、その声が文部科学省に届いたのでしょか。名称は未定ですが、「主任教諭」に相当する新たな職の配置を、文部科学省は検討しています。
かつての教員社会の「鍋蓋構造」
校長・教頭・教諭職時代の学校現場は、俗に「鍋蓋(人事・構造と)」といわれ、校長・教頭、二人の管理職(鍋蓋)以外は皆が教諭という「平等な職場」という見方がありました。けれど、「平等」や「総意」を前面に出して、学校の改革や改善を怠ったり、管理職とことごとく対立したりするなどの悪弊がありました。
そこで、「鍋蓋」の解消と、教諭間の適切な競争と組織化を目的に、徐々に進められたのが、教諭の職の細分化と序列化でした。教諭が主幹教諭や校長になるには、年に一度の選考を受け、合格しなければなりません。また、給与体系は職に応じたものとなりました。具体的には、大学卒で採用された教員の職は教諭で、2号級の給与が支給されます。主任教諭に昇任すれば3号級に、校長に任用されれば5号級が給与の基本となります。東京都で実施されている、論文と業績評価による主任選考が、今後は全国規模で行われるかもしれません。
完全年功序列制の改善
教員の職の細分化には、行政職の公務員からの妬みややっかみという背景もありました。「鍋蓋」時代の教員の給与はほぼ年功制で、勤務さえしていれば、極端に言えば、勤務時間をこなしていれば給与が上がりました。学級担任や部活動の顧問を務めても、対外試合や各種コンクールで成果を上げても給与には反映されません。
選考に合格しなければ主任主事や係長に昇任できない行政職職員の目には、同じ公務員である教員の組織や社会はぬるま湯的なものと映り、許されないものと感じたのかもしれません。『教育職にも行政職と同等の選考や序列を導入すべきだ』という考えが、教員の現在の職制に繋がったものと思われます。
しかし、多くの教員はそれに気づいていませんが。
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