記事概要 令和5年度の東京都公立学校教員採用試験{令和5年度東京都公立学校教員採用候補者選考 (6年度採用)}の教職教養の問題解説をしていきます。けれど、間違った解説もあるかもしれませんので、鵜呑みするのは避けたほうがいいと思います。なお、間違った解説につきましては、発見次第、私Garudaに教えていただけると幸いです。
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参考
教職教養の問題はこちら
https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/pdf/exam/mondai00.pdf
教職教養問題の答えはこちら
https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/pdf/exam/seito00.pdf
問11
モンテッソーリの教育思想に関する記述として適切なものは、次の 1 ~ 5 のうちのどれか。
1 保育施設である子どもの家で感覚教育を実践した。また、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案した。
2 教育目的として道徳的品性の陶冶をあげた。また、教育作用を、管理、教授、訓練の3部門に分けたが、教育的教授を重視した。
3 世界初の幼稚園を創設した。また、幼児用の教育的遊具として球体や立方体といった形からなる恩物と呼ばれる遊具を考案した。
4 プラグマティズムの思想をもつ哲学者であり、進歩主義教育を実践した。また、シカゴ大学附属小学校として実験学校を開設した。
5 ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにした。また、直観の三要素として数、形、語を取り上げた。
答えは1です
解説 これは勉強すれば、必ず正解できる問題
問11の選択肢の解説
1 モンテッソーリ教育は、20世紀初頭にマリア・モンテッソーリによって考案された教育法です。1907年に設立した貧困層の健常児を対象とした保育施設「子どもの家」において、その独特な教育法を完成させました。また、子供の自発的活動を可能にする環境整備を重視し、感覚訓練のための教具を考案しました。
2 ヘルバルトの教育思想に関する記述です。ヨハン・フリードリッヒ・ヘルバルトは、ドイツの哲学者であり教育学者です。彼は、教育目的として道徳的品性の陶冶をあげ、教育作用を管理、教授、訓練の3部門に分けましたが、教育的教授を重視しました。
3 フレーベルの教育思想に関する記述です。フリードリッヒ・フレーベルは、ドイツの教育学者であり、世界初の幼稚園を創設しました。彼は、幼児用の教育的遊具として球体や立方体といった形からなる恩物と呼ばれる遊具を考案しました。
4 デューイの教育思想に関する記述です。ジョン・デューイは、プラグマティズムの思想をもつアメリカの哲学者であり、進歩主義教育を実践しました。彼は、シカゴ大学附属小学校として実験学校を開設しました。
5 ペスタロッチの教育思想に関する記述です。ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチは、スイスの教育家であり、ゲルトルート児童教育法で直観教授の理論を明らかにしました。彼は、直観の三要素として数、形、語を取り上げました。
問12
いじめ防止対策推進法に関する次の記述ア~エのうち、正しいものを選んだ組合せとして適切なものは、下の 1 ~ 5 のうちのどれか。
ア この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいい、インターネットを通じて行われるものは含まれない。
イ 学校の設置者又はその設置する学校は、いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるときや、いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときには、その事態に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。
ウ 学校は、いじめに係る通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。
エ 学校は、いじめが児童等の心身に及ぼす影響、いじめを防止することの重要性、いじめに係る相談制度又は救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
答えは3です
解説 アが間違っているのはわかるけど、エの間違いが難しすぎます。こんな問題出すなよっていうクソみたいな問題です。
問12の選択肢の解説
ア いじめ防止対策推進法によると、「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいいます。また、インターネットを通じて行われるものも含まれます。正しくは、「インターネットを通じて行われるものも含まれます」です。
エ いじめ防止対策推進法の第二十一条には、『国及び地方公共団体』は、いじめが児童等の心身に及ぼす影響、いじめを防止することの重要性、いじめに係る相談制度又は救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。と書いてあります。選択肢のエは『学校は』となっているので、誤りです。こんな問題わかるわけないですね。東京都の教員採用試験の問題作成者の悪意しか感じないです。
問13
文部科学省が作成した「キャリア教育の手引き」に示された基礎的・汎用的能力を構成する4つの能力のうち、「人間関係形成・社会形成能力」に関する記述として適切なものは、次の1 ~ 5 のうちのどれか。
1 「働くこと」の意義を理解し、自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」を位置付け、多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら、自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力である。
2 多様な他者の考えや立場を理解し、相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに、自分の置かれている状況を受け止め、役割を果たしつつ他者と協力・協働して社会に参画し、今後の社会を積極的に形成することができる力である。
3 進路や職業等に関する様々な情報を収集・探索するとともに、必要な情報を選択・活用し、自己の進路や生き方を考える力である。
4 自分が「できること」「意義を感じること」「したいこと」について、社会との相互関係を保ちつつ、今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動すると同時に、自らの思考や感情を律し、かつ、今後の成長のために進んで学ぼうとする力である。
5 仕事をする上での様々な課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力である。
答えは2です
解説 難しい
問13の選択肢の解説
1 「働くこと」の意義を理解し、自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」を位置付け、多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら、自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力である。これは「キャリア教育の手引き」に示された基礎的・汎用的能力を構成する4つの能力のうち、「キャリアプランニング能力」です。
2 この能力は、多様な他者の考えや立場を理解し、相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに、自分の置かれている状況を受け止め、役割を果たしつつ他者と協力・協働して社会に参画し、今後の社会を積極的に形成することができる力であるとされています。これが「人間関係形成・社会形成能力」です。
3 進路や職業等に関する様々な情報を収集・探索するとともに、必要な情報を選択・活用し、自己の進路や生き方を考える力である。これは「キャリア教育の手引き」に示された基礎的・汎用的能力を構成する4つの能力のうち、「課題対応能力」です。
4 自分が「できること」「意義を感じること」「したいこと」について、社会との相互関係を保ちつつ、今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動すると同時に、自らの思考や感情を律し、かつ、今後の成長のために進んで学ぼうとする力である。これは「キャリア教育の手引き」に示された基礎的・汎用的能力を構成する4つの能力のうち、「自己理解・自己管理能力」です。
5 仕事をする上での様々な課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力である。これは「キャリア教育の手引き」に示された基礎的・汎用的能力を構成する4つの能力のうち、「課題対応能力」です。
問14
次の記述ア・イは、それぞれ「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~(報告)」(教育相談等に関する調査研究協力者会議 平成29年 1月)に示された、「学級担任・ホームルーム担任」、「スクールソーシャルワーカー」、「スクールカウンセラー」のいずれかの教職員の職務内容に関するものである。ア・イと、下の教職員A~Cとの組合せとして適切なものは、下の 1 ~ 5 のうちのどれか。
ア 不登校、いじめ等を学校として認知した場合又はその疑いが生じた場合や災害等が発生した際は、児童生徒の心理的な影響が想定されることから、児童生徒の不安や悩みの状況や要因を把握し、適切な配慮や支援方針並びに支援方法について立案し、ケース会議において報告することが求められている。
イ 不登校、いじめや暴力行為等問題行動、子供の貧困、児童虐待等の課題を抱える児童生徒の修学支援、健全育成、自己実現を図るため、児童生徒のニーズを把握し、支援を展開すると共に、保護者への支援、学校への働き掛け及び自治体の体制整備への働き掛けを行うことが求められている。A 学級担任・ホームルーム担任
B スクールソーシャルワーカー
C スクールカウンセラー1 ア-A イ-B
2 ア-A イ-C
3 ア-B イ-C
4 ア-C イ-A
5 ア-C イ-B
答えは5です。
解説 それぞれの仕事をきちんと理解していれば、なんとかわかるはず。公立学校で臨時であっても教員として1年働けば、なんとなく正解できる問題。
問14の選択肢の解説
ア スクールカウンセラーには、不登校、いじめ等を学校として認知した場合又はその疑いが生じた場合や災害等が発生した際に、児童生徒の心理的な影響が想定されることから、児童生徒の不安や悩みの状況や要因を把握し、適切な配慮や支援方針並びに支援方法について立案し、ケース会議において報告することが求められています。「SC」という略称で呼ばれることの多いスクールカウンセラーは、不安や悩みを抱える児童・生徒や保護者・教職員に、面談等で心理的な働きかけをします。
イは「スクールソーシャルワーカー」の職務内容に関するものです。不登校、いじめや暴力行為などの問題行動、子供の貧困、児童虐待などの課題を抱える児童生徒の修学支援、健全育成、自己実現を図るため、児童生徒のニーズを把握し、支援を展開するとともに、保護者への支援、学校への働き掛け及び自治体の体制整備への働き掛けを行うことが求められています。これは、「スクールソーシャルワーカー」の職務内容に関するものです。「SSW」という略称で呼ばれることの多いスクールソーシャルワーカーは、家庭や学校での生活に課題をもつ児童や生徒に、家庭訪問や面接を通して適切な支援を行ったり、専門機関につなげたりします。
問15
「交流及び共同学習ガイド」(文部科学省 平成31年3月)に示された、交流及び共同学習に関する記述として適切なものは、次の 1 ~ 5 のうちのどれか。
1 交流及び共同学習は、相互の触れ合いを通じて豊かな人間性を育むことを目的とする共同学習の側面と、教科等のねらいの達成を目的とする交流の側面があり、この二つの側面を分かちがたいものとして捉え、推進していく必要がある。
2 交流及び共同学習の実施に当たっては、学校の教職員、子供たち、保護者など当該活動に関わる関係者が、取組の意義やねらい等について、十分に理解し、共通理解をもって進めることが大切である。
3 交流及び共同学習が一体的な活動とならないよう、事前学習・事後学習を含めて単発の交流やその場限りの活動を計画することが大切である。
4 障害のない子供たちや関係者に対する事前学習においては、子供たちが主体的に取り組む活動にするため、障害について形式的に理解させる程度にとどめるようにする。
5 活動後には、交流及び共同学習のねらいの達成状況、子供たちの意識や行動の変容を評価するが、その後の日常の生活における変容はとらえる必要はない。
答えは2です
解説 「交流及び共同学習ガイド」なんて文献知らないので、日本語力で解くような問題かな。正解できなくはない問題。
問15の選択肢の解説
前提として、「交流及び共同学習」とは、「固定学級(特別支援学級)」と「通常学級」の在籍する児童・生徒が、学校生活でどのように交流し、どのように共に学ぶかであることを念頭に置き、正解に迫ることがポイントです。
1 問題文は適切ではありません。正しくは、「交流及び共同学習は、相互の触れ合いを通じて豊かな人間性を育むことを目的とする交流の側面と、教科等のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があり、この二つの側面を分かちがたいものとして捉え、推進していく必要がある。」です。これは、「交流及び共同学習ガイド」(文部科学省 平成31年3月)に記載されています。
3 「交流及び共同学習ガイド」(文部科学省 平成31年3月)では、交流及び共同学習は、相互の触れ合いを通じて豊かな人間性を育むことを目的とする交流の側面と、教科等のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があり、この二つの側面を分かちがたいものとして捉え、推進していく必要があります、とされています。つまり、交流及び共同学習は一体的な活動であることが望ましく、「単発の交流やその場限りの活動を計画することが大切である」という記述は適切ではありません。
4 「交流及び共同学習ガイド」(文部科学省 平成31年3月)には、4のような記述はありません。問題文は、障害のない子供たちや関係者に対する事前学習において、障害について形式的に理解させる程度にとどめるようにするという内容ですが、このような記述は「交流及び共同学習ガイド」(文部科学省 平成31年3月)には見当たりません。 そのため、この文章は不適切です。
5 問題文は「交流及び共同学習ガイド」(文部科学省 平成31年3月)に示された記述とは異なります。ガイドによると、活動後には、交流及び共同学習のねらいの達成状況、子供たちの意識や行動の変容を評価することが重要ですが、その後の日常の生活における変容もとらえることが必要とされています。つまり、活動後の日常生活における変容を評価することが重要ということです。
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