記事概要 立場や時代にかかわらず、また、公立私立を問わず、教員が思っていても口に出せないことを紹介します。今回は、「特別支援学級」と「特別支援学校」についての解説です。以下の記事は、公言すると、PTA、人権団体、新聞等のマスコミ、評論家、教育学者などが黙っていない話なので、現役の教員は絶対に主張しない(できない)ことです。
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特別支援教育
さまざまな障害で、適切な支援が必要な児童や生徒に対する教育を特別支援教育と言い、特別支援教育の専門教育施設に「特別支援学級」と「特別支援学校」があります。「特別支援学級」は、2007年まで「特殊学級」と呼ばれていましたが、障害の種別で、知的・情緒・肢体不自由・視覚障害・聴覚障害・病弱などの「特別支援学級」があります。
障害の程度が軽度の児童生徒は「特別支援学級」に、重度の児童生徒は「特別支援学校」に通います。その判断や決定は区市町村の教育委員会が行いますが、今は保護者の判断が尊重されているのが実情です。したがって、「特別支援学級」への通学が適切と考えられる児童生徒が、「通常学級」に在籍している場合もあります。
特別支援学級
「特別支援学級」は区市町村立学校に設置されていることが多く、ほとんどが知的障害を持つ生徒用の学級です。学級の定員は8名ですので、児童生徒が9名であれば2学級ということです。なお、学年別の編成ではありません。東京都では、学級数プラス1名の教員を「特別支援学級」に配置しています。
特別支援教育を行うには、専門の教員免許が必要です。しかし、教員採用試験に合格した新任教員が、本人の意に反して、特別支援学級の配属となることがよくありました。近年、特別支援の教員免許が取得できる大学が増えたため、教員配置の不具合は徐々に解消されるでしょう。
特別支援学校
「特別支援学校」の多くは都道府県立学校です。障害が単独の児童生徒の学級定員は6名、障害が重複する児童生徒の学級定員は3名です。特別な支援が必要なため、施設や設備や人材は充実していて、教員が100名を超す学校もあります。また、通学上の支援として、スクールバスの運行もあります。
特別支援教育を選択する児童生徒の増加
特別な(手厚い)支援が得られるからか、「特別支援学級」や「特別支援学校」に通う児童生徒が増えています。しかし、特別支援教育にはお金がかかります。公立の高校生には、一人当たり110万円が税金から支出されていて、保護者の負担は約10%です。一方「特別支援学校」に通う生徒には、一人当たり650万円が税金から支出されていて、保護者の負担は約0.03%です。また、修学旅行などの学校行事費やさまざまな教材費、スクールバス代への補助もあります。
現行の特別な支援や「合理的配慮」に満足せず、新たな要求を繰り出す保護者がいます。また、「特別支援学級」や「特別支援学校」に通う児童生徒の更なる加が予想されます。それらを賄う財源に不安はないのか、どこかにしわ寄せがいかないのか心配されます。
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