「巨人・大鵬・卵焼き」といえば、昭和40年代の子どもの(大人も?)大好物を表す、当時の誰もが知る流行語です。プロ野球の読売巨人軍の主軸で、世界のホームラン王となった王貞治さんは、墨田区で育ち、本所中学で学んでいます。昭和の大横綱である大鵬関が大活躍した(蔵前)国技館は、今は(両国)国技館として墨田区に新設されています。そして、卵焼きですが、これは墨田区のみならず、全国で人気が不動の料理です。やや強引ですが、墨田区は「巨人・大鵬・卵焼き」の本家、本元とも考えられる区で、また、東京スカイツリーという日本一の電波塔を抱える区です。
さて墨田区は、明治11年に成立した本所区と、昭和7年に誕生した向島区とが合併して昭和22年に誕生した、隅田川沿いの区です。同年、本所や両国という地名を冠した13の区立中学校が新設されましたが、人口の減少から向島中と鐘淵中が桜堤中となるなどの統廃合が進められています。結果として、同じ区立中学ながら7階建ての学校があるなど、校舎や施設に差異が生じていますが、現在は10校の区立中学が切磋琢磨して教育活動を行っています。区内には、旧制府立第三中(現都立両国高校)と旧制府立第七中(現都立墨田川高校)と2校のナンバースクールがあり、第六学区(墨田区・江東区・葛飾区・江戸川区)の教育の中心を担ってきました。
墨田区では、「魅力ある教育活動の実現と開かれた学校づくり」を目標に、平成14年から中学校の選択制が導入されました。昨年度は、墨田中・本所中・両国中(都立両国高校の附属両国中とは異なります)の3校が抽選の対象校となりましたが、校舎や施設が近代的だったり、「スタンダード」と名付けた学力向上策を打ち出したりする学校に人気が集まり、学級増となる学校がありました。なお、旧本所区に相当する区内の北部と、旧向島区の区南部とでは、生徒の学力に「北高南低」という傾向が見られるという噂もありますが、真相は不明です。各中学校のホームページをのぞいて、進学実績を確認するのも、賢明かもしれません。
なお、東京都立両国高校の附属中学校は平成18年に開校しましたが、入学するには適性検査(入学試験)の壁を突破しなければなりません。東大への多数の合格者を出した往年の進学校・都立両国高校には、高校からの60名ほどの入学枠がこれまでありましたが、今後は募集を停止するという方針が東京都教育委員会から示されたため、附属中への合格はより難しくなるかもしれません。
江東区の教育事情……江戸が起源の「水彩都市」 はこちら
東京都23区の教育事情 まとめ記事 はこちら
コメント