江戸時代に整備された青梅街道沿いに植えられた杉並木に、その名が由来するという杉並区。杉並区には、JR中央線に沿って発展した区という印象がありますが、嘘か誠かポルシェ車が最も売れる地域だそうです。また、その道の通には既知のことでしょうが、アニメ制作会社数が23区内で1位の区としても有名です。
さて、杉並区には23校の区立中学校がありますが、杉並和泉学園・高円寺学園など施設一体型小中一貫校に衣替えした中学校を含め、昭和22年以降、統廃合無く全ての中学校が存続しています。我が国の少子化が進む中で、これはたいへん珍しいことです。また、創立当初こそ、井荻二中のようなナンバースクールもありましたが、すぐに改名され、全ての学校に地名や地形にちなむ校名が付けられました。
杉並区でも以前は学校選択制が採用されていましたが、学校規模や生徒の学力に弊害が生じたことで、現在は実施されていません。とはいえ、生徒の平均学力に関しては、「西高東低」「南高北低」とかいう気象用語のような表現が今なお信奉されています。
杉並区では、すべての公立学校をコミュニティースクールに認定しているため、どの学校にも学校運営協議会があります。コミュニティースクールという考えや制度は、アメリカ由来のもので、「地域との連携」といううたい文句で文部科学省は推奨しています。「新し物好き」というか、「文部科学省様様」という区市町村や区市町村教育委員会には、英語やカタカナ用語に弱いという傾向が見られます。校長も学校運営協議会の一員ですが、学校経営や教員人事に協議会や協議会の役員が横槍を入れることがないよう、願うばかりです。
杉並区の公立学校のもう一つの特色に、学校支援本部があります。「読んで字のごとく」、学校や教員のさまざまなニーズにこたえようとする組織で、創設当初は「何でも屋」的な存在でした。今は、各種検定の請け負いや定期テスト対策など、学習に関する活動を主に担っています。
初の民間人中学校長の藤原和博を誕生させ、その校長の下で「夜スペシャル(通称夜スぺ)」「土曜寺子屋(通称ドテラ)」「よのなか科」などマスコミを賑わす活動が展開されました。今は地域ボランティアで組織する「地域本部」が「ドテラ」を有料で引き継いでいますが、これらが近い将来に「目玉商品」で終わってしますのか、有用な取り組みとして他に波及していくのかが注目されます。
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