記事概要 立場や時代にかかわらず、また、公立私立を問わず、教員が思っていても口に出せないことを紹介します。今回は、「合理的配慮」についての解説です。以下の記事は、公言すると、PTA、人権団体、新聞等のマスコミ、評論家、教育学者などが黙っていない話なので、現役の教員は絶対に主張しない(できない)ことです。
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「合理的配慮」(reasonable accommodation)とは
reasonable accommodationを直訳すると「適切な便宜」となりますが、法律上の理解では、「障害者の求めに対する無理のない範囲での便宜」と説明されます。さて、reasonable accommodationには、「合理的配慮」という訳語が充てられていますが、世間での認知度はあまり高くはないでしょう。しかし、障害をもつ児童生徒の保護者やその支援者には、「合理的配慮」は切り札ともいえる言葉で、これを盾に教育委員会や学校に「無理と思える便宜」を求めるケースが多々あります。「言わなきゃ損」や「なぜできない、できない理由とその法的な根拠を文書で示せ」などと、正に「何でもあり」という状況があります。以下に具体的な事例の一部を紹介します。
ストレッチャーを使用してまでの、通常学級での学習
ほぼ寝たきりで意思表示が難しい、肢体不自由特別支援学校への通学が適切と思われる生徒が、ストレッチャーと介助者の支援の下に通常学級を希望しました。授業は教室の後方で受け、班学習では教室内を移動して参加し、発表では班員とともに行動します。けれど、どう考えても学習しているようには思えません。「合理的配慮」という名の下の、特別待遇としか考えられませんが、学校や教員はそこまでしなければならないのでしょうか。拒否することは、悪でしょうか。
何でも一緒、何でも二つへの執着
特別支援学級に在籍する児童生徒が通常学級との交流を希望する場合、下駄箱から机や椅子まで、使用するかどうかは別で用意します。児童生徒が望んでいるかは不明ですが、通常学級で給食をとるとなれば、付き添いなどの関係で、人手を割かなければなりません。運動系の部活動に参加する場合は、安全面の配慮から支援員をつけるなどしますが、通常学級の生徒と同じ活動は難しいものです。例えばバスケットボールでは、パスを受け損ねたり、身体接触したりという危険がつきものです。本人や保護者の希望のままに受け入れることが、「合理的配慮」でしょうか。
試験時間は延長、試験問題は別
小学校では特別支援学級に通っていた児童が、中学校では通常学級に通うというケースが稀にあります。通常学級の生徒ですから、「合理的配慮」はそれほど必要ないかと考えられますが、さまざまな理由をつけて、定期試験の時間延長を求める保護者がいます。また、試験問題がわが子には難しすぎると、出題の変更を要求する保護者がいます。それであれば、特別支援学級か特別支援学校に入学すればよい、というより、入学すべきかと考えますが、学校や学級担任から言い出すことは出来ません。
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