黒板から見る、公立小中学校への教育費と区市町村の魅力【東京23区の学力差は縮まらない】

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記事概要 東京都23区間の学力差が縮まらないことについて、区の資金と学校の施設・設備の点から解説していきます。今回は「黒板とデジタル教科書」について解説していきます。
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「孟母三遷」

 よく知られた故事成語ですが、要は環境が学習に与える影響は大きいということです。紀元前に生きた人と現在の私たちとで、思いや考えが同じなことが不思議ですが、学習条件が良くなれば、それに伴い学力が高まるのであれば、教育は金で左右されるということでしょう。

公立学校の施設改修と環境整備

 東京都内の公立小中学校の施設や設備の更新や修繕(設備投資)に充てる資金は、学校が区市町村立ということで、それぞれの区市町村の予算から捻出されます。となると、税収や予備費が十分にある区市町村や、公立学校の数が少ない区市町村では、公立学校に対して使えるお金が多いわけです。

 そして、教育に対して使えるお金(教育費)が多いと、子どもが勉強しやすい環境が整うだけでなく、教員にとっても授業や活動がしやすい環境が生まれるということです。つまり、「この地域で働きたい」と思う教員が増え、人気が上がることにより、力のある教員が増えるという好循環が生まれるということです。逆を言えば、教育費の少ない区市町村に、教員は魅力を感じにくいです。今回は、「黒板とデジタル教科書」について解説していきます。

予算が潤沢な市区町村の公立学校にある、最新の設備の具体例と普及率(2022年現在)

電子黒板

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電子黒板の魅力 【東京23区の学力差は縮まらない】
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 普通教室に電子黒板が設置されている公立小中学校には、区市町村がかなりお金をかけています。2022年現在、東京都の公立小中学校で、電子黒板が設置されている教室は過半数以下でしょう。搭載している機能などにもよりますが、移動式の電子黒板であれば20万円くらいで導入できますが、黒板に代わる固定式の電子黒板であれば、設置の費用はその10倍はかかります。したがって、1学年3クラスの中学校であれば、普通教室に配備するだけで1800万円ほどかかります。若年人口が多く、公立学校数が多い市区町村が、すべての学校に固定式の電子黒板を設置するとなると、1億円を超える莫大なお金がかかるということが分かります。

 それでも、財政面で豊かな区では、全小中学校に一度に電子黒板を設置し、デジタル教科書やインターネットを使っての授業を始めています。

 電子黒板が配備できなくても、教室に設置してあるテレビや可動式のポータブルテレビに特殊なタッチパネルを接続することで、テレビを電子黒板のように利用することができます。しかし、画面のサイズが小さかったり、タッチパネルに対応できなかったり、文字や図表を書き表せなかったりと、かなりの不都合や制約があります。

2 プロジェクター(投影機)

 パソコンの画面などを拡大して映し出すことができるプロジェクターも、電子黒板の代用として利用することができます。電子黒板と比較すればだいぶ安価ですが、プロジェクター自体が重いこと、使用するにはコードなどを接続しないといけないこと、映写するためのスクリーンを準備しなければならないこと、また、スクリーンに書き込みはできないことなど、デメリットが目立ちます。しかし、ホワイトボード上にプロジェクターで画面を映し出すことで、ホワイトボードにペンで書き込むことにより、画面に書き込むというようなことができるようになります。

 最近では、電子黒板機能付きプロジェクターもあれば、教室の天井から吊るされているものや壁に設置するプロジェクターもあります。なお、電子黒板機能付きのプロジェクターは、金額の面では移動式の電子黒板とさほど変わりません。

 電子黒板はプロジェクターと比べれば劣るものの、デジタル教科書を見せながら授業を行うことができる次点で、普通の黒板の何倍も高品質な授業をできることは間違いないでしょう。

黒板の未来

 ここまでは「教室に黒板がある」という前提で話を進めてきましたが、将来的には黒板が無くても授業ができる時代が来るかもしれません。具体的には、タブレット端末のようなものが、生徒と先生の黒板の代わりになるような時代や、空中に黒板の代わりホログラムなどの技術を利用することで空中に黒板のようなものを出現させることができるようになるかもしれません。

 しかし、どのような新しい技術が誕生しようとも、その技術や教育機器を導入できるのは、お金のない区市町村ではなく、財政に余裕のある区市町村であることに間違いありません。お金がある区の公立小中学校の設備や施設を次々と最新化する限り、東京都23区の学力格差はなくならないでしょう。
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