記事概要 先日、中国の深圳の日本人学校に通う児童への痛ましい事件がありました。被害に遭われた児童ならびにご遺族の皆さまに、心よりご冥福をお祈りいたします。この事件に関して、私Garudaにできることはあまりありませんが、海外の日本人学校の児童・生徒についての理解が深まるような文章を書いていきます。
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語学力の高い帰国子女
保護者の勤務の都合にで、日本人学校から国内の公立小学校や中学校に通うことになる児童・生徒の多くは、英語の授業に「圧倒」されることがあります。英語の授業についていけないのではなく、英語の学習内容のレベルの低さに圧倒されるのです。海外の日本人学校に通っていた児童・生徒にとっては、公立小学校や中学校の英語の授業では学ぶ内容がない、という生徒も多くいます。英語が公用語ではない、中国やベトナム等の国々からの帰国子女でも、英語の早期教育を受けたことで、国内の児童・生徒よりも英語の能力が長けていることはよくあります。
手持ち無沙汰の英語の授業
公立学校では基本的に、小学校3・4年生には週に1時間の外国語(英語)活動の授業が、また、5・6年生には週に2時間の外国語(英語)の授業が行われ、中学校では全学年で週に4時間の外国語(英語)の授業があります。これらの授業内容は、海外で英語を学んできた生徒たちにとっては幼稚園レベルです。英語漬けの生活だったり、早くから英語を学んだりした子どもにとっては、「Head, Shoulders, Knees and Toes」を歌おうとも、「I have a pen」を学ぼうとも、(何をいまさら)と思うだけです。日本で生まれ育った子供が、1回の英語の授業で「10」の内容を吸収するのに対し、海外からの帰国子女では「0.1」も吸収する内容がないといえるでしょう。
素直に授業を受ける帰国子女たち
日本国内の英語の授業で、たとえ学ぶことがなくとも、英語の授業が物足りなくて眠くなったとしても、多くの帰国子女は公立学校の英語の授業に文句は言いません。以前の記事でも解説しましたが、帰国子女には人の気持ちを思いやることができる心優しい児童・生徒が多く、たとえ英語の教員の発音が間違っていようとも、わざわざ指摘はしませんし、授業内容に文句も言いません。
英語科教員にとっての帰国子女
実は、公立学校の英語科教員の中には、帰国子女のいるクラスの授業を担当したがらない教員もいます。なぜなら、英語科の教員よりも英語の能力が高い生徒がいるからです。公立学校の英語科の教員の能力は、ネイティブレベルから英検準2級レベル程度とピンキリです。自らの英語の能力に自信がある教員は別ですが、向上心がなかったり、英語の能力に引け目を感じながら英語科教員を続けたりしている教員にとって、英語の能力の高い帰国子女は、英語科教員の権威を失墜させかねない存在ということです。
しかし、帰国子女をALTと考えれば、英語科の教員にとって帰国子女はありがたい存在です。英語科教員が取り扱わない英語表現を提示してくれたり、現地でしか通用しない俗語や異文化をこっそり教えてくれたりするからです。したがって、英語科教員のグッド・パートナーかもしれません。
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