記事概要 公立学校の教員は地方公務員であり、教諭から校長まで、職に応じた給料表が公表されています。今回は、教員の役職の増加と過去の役職について解説していきます。今回は一般企業と比べた際の、教育公務員の役職体系と校長になることができる確率などについて解説しています。
たいしたことのない校長の仕事
今は昔、保護者や大人が子供を叱る際に、「先生に怒られるぞ」や「お巡りさんに言うぞ」という脅し文句というか、常套句(じょうとうく)があり、私などは、『これは困ったな』と思ったことがたびたびありました。昔々には、先生やお巡りさんには「絶対的な存在」というような日本人に共通した認識があり、たぶんその権威? を子供への注意や躾に利用したのでしょう。「先生」が「絶対的な存在」であるならば、「校長先生」の地位は途轍もないものかもしれません。けれど、結論を述べれば、実際は大した職ではないと思います。
昇進とあまり縁がなかった過去の教員
「教員の細分化」の記事で取り上げたとおり、現在の東京都の教員には、統括校長・校長・副校長・教頭・主幹教諭・指導教諭・主任教諭・教諭という職があります。新任教員の採用試験から始まり、統括校長を除き、昇任するには選考を受験し、合格しなければなりません。教員の職が校長・教頭・教諭だった時代では、校長・教頭という「教育管理職」を目指す教員以外には、選考(試験)は全く縁のないものでした。給料は毎年上がり、時には「特別昇給」が仕事量には関係なく、順番で与えられました。
時代の流れに合わせて追加されていった教員の役職
さて、「教員の細分化」が進められた背景には、行政系公務員の職制との関連があると思われます。行政系公務員の職は、主事(係員)から始まって選考によって主任主事・係長・課長補佐・課長・部長と昇任します。主事イコール教諭と考えれば、校長は行政系の課長に相当することが分かります。けれど教員には、行政系の部長に相当する職はありませんので、課長で「頭打ち(上限)」ということです。
校長は偉いか
校長(課長)・副校長(課長補佐)は、多くは一校に一名ずつ配属され、校長の比率は3.3%です。では、東京都庁の職員構成はというと、部長が2.2%、課長が7.7%、課長補佐・係長が22%、主任が29.2%、主事が32%です。つまり、課長以上は約10%で、1/3以上は係長ということです。この数字からも、校長職がそれほど偉くはない、特別な存在ではないことがよく分かります。
規模の大きな会社では、今や係長や課長という職がなくなりつつあります。また、補佐する課長がいない課長補佐や、部下のいない課長も珍しくなくなりました。とすれば、校長が偉いか偉くないかを論ずるのは、意味の無いことかもしれません。
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