記事概要 令和6年度の東京都公立学校教員採用試験{令和6年度東京都公立学校教員採用候補者選考 (7年度採用)}の教職教養の問題解説をしていきます。けれど、間違った解説もあるかもしれませんので、鵜呑みするのは避けたほうがいいと思います。なお、間違った解説につきましては、発見次第、私Garudaに教えていただけると幸いです。
令和5年度の東京都教員採用試験の教職教養問題の解説はこちら
参考
教職教養の問題はこちら
https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/pdf/exam/mondai00.pdf
教職教養問題の答えはこちら
https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/pdf/exam/seito00.pdf
問1
日本国憲法の条文として適切なものは、次の1 〜5 のうちのどれか。
1 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
3 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
4 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
5 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
答えは2です。
解説 教員採用試験でよく問われる法律の条文の重要なところを押さえておけば、解けるはずです。小6社会で勉強するレベルの問題です。
問1の選択肢の解説
1: 教育の目的について述べていますが、日本国憲法の条文ではなく、教育基本法の第1条の条文です。
2: 教育を受ける権利が述べられており、日本国憲法第26条に該当します。
3: 義務教育の目的について述べていますが、日本国憲法の条文ではなく、学校教育法第2条の条文です。
4: 良識ある公民として必要な政治的教養について述べていますが、日本国憲法の条文ではなく、教育基本法14条の条文です。
5: 教員の責務について述べていますが、日本国憲法の条文ではなく、教育基本法第9条の条文です。
問2
学校の設置に関する記述として、法令に照らして適切なものは、次の1 〜5 のうちのどれか。
1 区市町村は、その区域内にある学齢児童・生徒を就学させるに必要な小学校及び中学校を設置しなければならない。ただし、教育上有益かつ適切であると認めるときは、義務教育学校の設置をもってこれに代えることができる。
2 区市町村の設置する高等学校、中等教育学校及び特別支援学校の設置廃止等は、文部科学大臣の認可を受けなければならない。
3 学校には、その学校の目的を実現するために必要な校地、校舎、校具、運動場、校長室、職員室その他の設備を設けなければならない。ただし、図書館又は図書室、保健室については設けなくてもよい。
4 特別支援学校には、いかなる場合においても小学部及び中学部の両方を置かなければならない。
5 学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、内閣総理大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。
答えは1です。
解説 なんとか解ける問題ですが、知っていても教員にとってほとんど役に立たない知識ですね。
問2の選択肢の解説
1 この記述は学校教育法第38条の内容とほぼ一致しています。ただし、条文では「市町村」となっており、「区」は含まれていません。
2 実際には、都道府県の設置する高等学校等の設置廃止等では文部科学大臣の認可を要します。市町村立の場合は都道府県教育委員会の認可が必要です。出典: 地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第27条
3 学校教育法第3条では、学校の施設設備について規定していますが、図書館(室)や保健室の設置免除に関する記述はありません。むしろ、これらは重要な施設として必要とされます。
4 特別支援学校には、障害の種類や程度に応じて、幼稚部、小学部、中学部、高等部のいずれかまたは複数を置くことができます。必ずしも小学部と中学部の両方を置く必要はありません。出典: 学校教育法 第72条
5 学校の設置基準を定めるのは内閣総理大臣ではなく、文部科学大臣です。出典: 学校教育法 第3条
問3
教育課程に関する記述として、法令に照らして適切なものは、次の1 〜5 のうちのどれか。
1 公立の小学校の教育課程を編成する場合は、宗教を加えることができる。この場合においては、宗教をもって特別の教科である道徳に代えることができる。
2 中学校においては、必要がある場合には、一部の各教科について、これらを合わせて授業を行うことができる。
3 小学校、中学校及び高等学校において、学校生活への適応が困難であるため、相当の期間、当該学校を欠席し引き続き欠席すると認められる児童・生徒を対象として、その実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施することはできない。
4 小学校、中学校及び高等学校において、児童・生徒が心身の状況によって履修することが困難な各教科は、その児童・生徒の心身の状況に適合するように課さなければならない。
5 教育委員会は、小学校、中学校及び高等学校の全課程を修了したと認めた者には、卒業証書を授与しなければならない。
答えは4です。
解説 消去法の結果、選択肢2か4で迷う問題です。そこそこ難しい。
問3の選択肢の解説
1 公立学校では宗教教育を行うことはできません。また、特別の教科である道徳を他の教科で代替することもできません。余談ですが、私立の小学校の教育課程を編成する場合は、前項の規定にかかわらず、宗教を加えることができます。この場合は、宗教をもつて前項の特別の教科である道徳に代えることができます。出典: 学校教育法施行規則 第50条
2 必要がある場合には、一部の各教科について、これらを合わせて授業を行うことができるのは「小学校」です。中学校においてこれは不可能です。出典: 学校教育法施行規則 第53条
3 実際には、不登校児童生徒に対して、その実態に配慮した特別の教育課程を編成することが認められています。出典: 学校教育法施行規則 第56条の4(小学校)、第79条(中学校)、第104条(高等学校)
4 この記述は学校教育法施行規則の内容と一致しています。児童生徒の心身の状況に応じて、教科の履修を適合させることが求められています。出典: 学校教育法施行規則 第54条(小学校)、第79条(中学校)、第104条(高等学校)
5 卒業証書の授与は教育委員会ではなく、学校長が行います。卒業式の卒業証書授与の際、校長が自身の名前を言っていた覚えはないでしょうか。出典: 学校教育法 第28条(小学校)、第49条(中学校)、第62条(高等学校)
問4
学校において予防すべき感染症の種類のうち、第二種に分類されるものとして、学校保健安全法施行規則に照らして適切なものは、次の1 〜5 のうちのどれか。
1 ペスト
2 コレラ
3 エボラ出血熱
4 麻しん
5 ジフテリア
答えは4です
解説 東京都の教員採用試験の問題作成者を連れてきて、この問題を出題する意味を聞いてみたいくらいクソみたいな問題ですね。これを知っていてなんの役に立つのかっていう問題です。養護の先生以外、解けなくても仕方がない問題です。
問4の選択肢の解説
学校保健安全法施行規則に基づく、第二種に分類される感染症は以下の通りです。
1 ペストは第一種感染症に分類されます。
2 コレラは第三種感染症に分類されます。
3 エボラ出血熱は第一種感染症に分類されます。
4 麻しん(はしか)は第二種感染症に分類されます。
5 ジフテリアは第一種感染症に分類されます。
したがって、第二種に分類される感染症として適切なものは「麻しん」です。現代の日本人にとって馴染みのあるものが唯一、選択肢4ではないでしょうか。
問5
教職員の職務に関する記述として、法令に照らして適切なものは、次の1 〜5 のうちのどれか。
1 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときであっても、文部科学大臣の定めるところにより、児童及び生徒に懲戒を加えることができない。
2 副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
3 教諭は、校長及び副校長を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童及び生徒の教育をつかさどる。
4 指導教諭は、教諭に対して教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行うとともに、教諭を監督する。
5 養護教諭は、児童及び生徒の養護をつかさどるが、保健主事に養護教諭を充てることはできない。
答えは2です。
解説 それぞれの役職の仕事内容の問題。要点を抑えて暗記すれば、確実に正解できるようになる問題です。
問5の選択肢の解説
1 実際には、校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができます。出典: 学校教育法 第11条
2 この記述は学校教育法第37条第5項の内容と一致しています。副校長の職務について正確に述べられています。
3 教諭の職務について、校長を助けるのは正しいことですが、副校長を助けるという記述は誤りです。正しくは「児童の教育をつかさどる」です。出典: 学校教育法 第37条第9項
4 指導教諭は教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行うことは正しいことですが、教諭を監督する立場ではありません。出典: 学校教育法 第37条第10項
5 養護教諭が児童及び生徒の養護をつかさどることは正しいことですし、保健主事に養護教諭を充てることも可能です。出典: 学校教育法 第37条第12項、学校保健安全法 第6条第1項
この続きはこちら
コメント