記事概要 立場や時代にかかわらず、公立私立を問わず、学校の教員が思っているけど言えないことについて説明します。今回は、いじめの定義と認識について、現場の教員がどう判断しているのか解説していきます。これらは、公言すると、PTA、人権団体、新聞等のマスコミ、評論家、教育学者などその他もろもろが黙っていないので、現役の教員は絶対に主張しない(できない)ことです。
(前回記事)はこちら
法律上のいじめの位置づけ
平成25年から施行された「いじめ防止対策推進法」では、いじめを以下のように説明しています。
「いじめ」とは、児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人間関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。なお、起こった場所は学校の内外を問わない(いじめ防止対策推進法第二条)
参照
ちょっと訳わかんないですね。要点をまとめると
- 一定の人間関係のある間で
- 心理的又は物理的な影響を与える行為を受け
- 影響を受けた生徒が苦痛を感じている
です。簡単に言えば、攻撃を受けた生徒が「いじめられた」と思ったら、それは「いじめである」、ということです。
「坊っちゃん」や「ジャイアン」は「いじめっ子」か
誰もが知る、夏目漱石の小説『坊っちゃん』の主人公「ぼっちゃん」。「坊っちゃん」は、「親譲りの無鉄砲」と紹介されていますが、町内では、「乱暴者の悪太郎」と呼ばれ、また、栗を盗みに来た質屋の弱虫息子「勘太郎」に足を引っかけて(足がらをかけて)押し倒し、気絶させるなどしています。
同じく誰もが知る、ドラえもんの登場人物「ジャイアン」。態度の大きい乱暴者で、気に食わないことがあると「殴るぞ」などと暴言を吐き、のび太やスネ夫を威嚇したり無理強いしたりします。
では、ぼっちゃんとジャイアンの二人はいわゆる「いじめっ子」でしょうか。「いじめっ子」であれば、二人は「いじめ」の当事者ということですから、『坊っちゃん』は発売禁止になるか、『ドラえもん』は放送禁止になるかもしれません。
改めての質問ですが、「坊っちゃん」や「ジャイアン」は果たして「いじめっ子」でしょうか。その判断の基準や根拠はどのようなものでしょうか。
いじめか否か あなたの判断・判定は?
次のうち、「いじめ」に該当するものはどれでしょうか。
Ⅰ 生徒Aが新しい赤い眼鏡をかけて学校に来た。生徒Bが生徒Aを「やまちゃん(赤い眼鏡がトレードマークの山里亮太を意味している)」というあだ名で呼び掛けたことに、生徒Aは「いじめられた」と主張した。
Ⅱ 解けずにいた算数の問題を、児童Aは休み時間に児童Bに質問した。児童Bは「なんでわかんないんだよ。しゃーねーなー、教えてやるよ。」と問題の解き方を教えた。児童Aは児童Bからの「なんでわかんないんだよ」という言葉で落ち込んでしまい、涙ながらに「いじめられた」と教員に訴えた。
Ⅲ 新学期が始まった5月。生徒Aの名前は「上村(かみむら)」であるが、クラスメイトの数名から「うえむら」という名称で呼ばれ続けたことを、「いじめられている」と主張した。周囲の生徒は、なんとなく「うえむら」と呼び始めたようで、特に悪意はないという。
答えは下にあります。
答え
答えはⅠ~Ⅲの全てがいじめに該当します。理由は、理由は、生徒Aや児童A が「いじめられた」と主張しているからです。悪意があろうとなかろうと、また、「いじめたとされる」生徒Aや児童Bやクラスメイトに、いじめる意図があろうとなかろうと、さらに、親愛や生思い遣りのつもりで接していようとも、生徒Aに「いじめられた」との思いがあれば、すべては「いじめ」に該当します。
果たして、これら事象が「いじめ」であるという判断は妥当なのでしょうか。上記のⅠ~Ⅲの場面に出くわした場合、教員は「いじめじゃないだろ」と思います。しかし、これらの例は「いじめ」に該当するのです。
上記のようないじめが発生したときの教員の対応マニュアルはこちら
上記の例が「いじめなのかよ」と思った人はこちら
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