記事概要 東京都の教員採用試験の、1次試験の一つである論文を書く際には、「序論・本論・結論」の順番で論文を書くと、1次試験に合格しやすいものです。今回は、論文の中で最も重要な「本論」を構成する要素である「(柱)・論・(例)・策」のうちの、例について解説します。
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今回の「(柱)・論・(例)・策」の例
本論の構成要素である「(柱)・論・(例)・策」を紹介するために、
東京都の教員採用試験の、令和3年度の一般選考の論文問題 令和3年度 論文問題Ⅰ A問題
の問題文を引用します。
令和3年度 論文問題Ⅰ A問題
A 次の記述を読み、下の問題について、論述しなさい。
年度初めの職員会議で、教務主任から、昨年度末に実施した生徒アンケートでは、「自分の考えや質問を述べて、積極的に授業に参加している」や「根拠や理由を明確にして自分の考えを述べることができる」に肯定的な回答をした生徒が少なかったこと、また、教科主任会では、複数の教科主任から、「授業で学んだ内容を自分なりに解釈したり、これまで学習した知識と結び付けて自分の考えを形成したりすることができていない」ことが課題として挙げられたとの報告があった。
その上で、教務主任から、「今年度、各教科等の指導において、『言語活動の充実を図り、言語能力の向上を目指す』を重点事項にしたいと思います。」と示された。
職員会議終了後、教務主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように学習指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。
問題
教務主任の発言を受けて、あなたならどのように学習指導に取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識を明確にし、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。
引用 東京都教育委員会 令和3年度東京都公立学校教員採用候補者選考 第一次選考
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私Garudaが実際に書いた令和3年度の一般選考の論文問題 令和3年度 論文問題Ⅰ A問題の論文はこちら
本論の「例」の書き方
- 「例」とはまさしく、「教育や学校に関することで、こういう例がある」というような事例を述べる部分です。「例」は、「論」を補足する役割の部分です。「論」で述べたことに対して「例」を出すことにより、論の妥当性を強めます。記事概要に(例)と表しているように、「例」を書くのが難しいようであれば、書かなくても問題ありません。
- なお、「例」を書く場合、60字~140字程度がよいでしょう。140字以上だと「例」が長すぎます。慣れれば難しくはないのですが、毎回「例」を考えるのは骨の折れることです。例の作成に時間がかかるようであれば、すぐに「策」を書き始めましょう。
- 正直言って、論文試験の試験時間である70分で、その場で目にする問題文に応じて、適切な「例」を出すのはかなり高度な技術です。教員採用試験の論文を書いている際に、あまりいい例えが思い浮かばなければ、「例」は書かなくても問題ありません。必ず「例」が必要というわけではないので、例示がうまくいかなければ気にしなくてもよいでしょう。
私Garudaの例
実際に私Garudaが令和3年度 論文問題Ⅰ A問題で書いた例がこちら
- 教育実習での指導の際に、授業中に話を聞かない生徒がいた。そこで、生徒が興味をもつような話を授業の導入に利用することにより、話を聞かない生徒だけでなくクラス全体として授業に対する姿勢が見違えるようによくなった。
- 私は独学で英語を勉強してきた。受験に備え大量の英単語を覚え、英文読解の能力を高めたが、いざ外国人と接すると、会話の内容を理解することが難しく、また、自分の思いを的確に伝えられないという経験をしたことがある。
私Garudaの例の解説
私Garudaは本論の「例」を書くとき、主に、「学校内での課題(の事例)→何か対策→結果」の流れで「例」の文章を考えています。いろいろと他の例の書き方考えてみましたが、この流れが無難な「例」であると考えています。
上段の例は、課題(話を聞かない)→対策(興味をもつ話をする)→結果(姿勢がよくなる)という流れを述べたものです。まあ学校現場でありそうな話ではあります。加えて、私Garudaが書いた「という生徒がいる」や「~という生徒をたくさん見てきた」、「生徒の中には~というものもいる」というような表現で例を出すとよいでしょう。
下段は、私Garudaがよく使う流れとはまったく異なる流れの例です。基本的に、「例」を書く際には「生徒との出来事」を書くことが多いものです。しかし下段は、私自身の学校外での話です。ただし、勉強に関係する例であるため、私Garudaは「例」として書きました。
ここでの「例」は「(作り話)」でもかまいません。実際に出くわしたことがないような状況や生徒であっても、ばれないレベルの嘘であればなんら問題ありません。実際のところ、上段も下段の例も私Garudaがこれといって経験していない話です。
総括
本論において、無理に「例」を書く必要はありません。しかし「例」が入っていると、論文としてのバランスが良くなりますし、採点者にとって「かなり読みやすい論文」という印象を持たれます。慣れれば簡単に「例」を書くことができるようになりますが、妥当な「例」を書くには練習時間をかなり要します。論文の練習に十分な時間を割くことができないようであれば、「例」を書くという考えを捨てて、本論勝負するようにしましょう。
本論の策の書き方についてはこちら
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