記事概要 公立学校の教員は地方公務員の位置づけであるがゆえに、給与の上がり方が公表されており、給料表も公示されております。教員の役職や金回りについて解説していきます。今回は私企業と比べて、校長の権限は大きいのかについて解説しています。
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校長は果たして「経営者」か?
東京都の公立学校の校長は、学校経営案(方針)を毎年の年度当初に公にしなければなりません。「公にする」から分かるように、所属職員に配布するだけでなく、学校ホームページ等でも公開しています。したがって、インターネットで学校名を検索すれば、その学校の学校経営案を自由に見ることができます。でもまあ、自分に無縁な学校の経営案を読もうとする人は、そう多くはないかと思われますが。
その学校経営案ですが、様式や分量は特に定められていません。したがって、図表の体裁もあれば長文で冊子状のものなどさまざまです。ちなみに基本的には、前任が作成した経営案を踏襲し、箇条書きにします。これは、書きすぎて下手に墓穴を掘らぬよう、無用のトラブルを避けることを配慮した結果でもあります。
学校経営案は、学校教育目標や前年度の学校評価を踏まえて作成が大半です。そして教員は、示された学校経営案に基づいて自己申告書を作成し、提出します。ここまで長々と学校経営案について書きましたが、経営案を作成する任にある校長は、そもそも「経営者」でしょうか。
学校教育法の条文には、「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」とあります。つまり、「経営」ではなく、「監督」が校長の職務であると定めているわけです。学校を預かる校長の職務はさまざまなため、「4管理2監督」という言葉でまとめられます。具体的には、教育課程の管理や職員の服務の監督が「4管理2監督」に含まれます。つまり校長は、あくまでも学校の「管理者」や「監督者」であって、「経営者」ではないということです。
教員や職員を採用したり任用したりする人事権もなければ、人件費や備品購入費などの予算も自由にはなりません。学校の「経営者」でない校長が学校経営案を作成するという矛盾に、教育委員会は気づいていないのでしょうか。また、その矛盾を解決する方策は無いのでしょうか。
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