記事概要 現状、学校教育には様々な課題があります。教員の労働時間はなかなか短くなっていません。今回は、教育に関わる人間の様々な魂胆を理解しながら、部活動地域移行がなぜ進んでいないのかについて解説していきます。
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部活動地域移行が進捗しない背景には、大きく分けて以下の3つの理由が挙げられます。
行政や教育委員会も乗り気ではない
部活動の地域移行が行われると、教員が担っていた部活動の指導が、地域のスポーツクラブや民間事業者、外部団体などに移管されることになります。そのため、地域には、部活動の運営や指導のための人材・資金・施設などの負担が新たに発生することになります。運営資金があまりにも足りなければ、地域によっては住民税などから運営費が賄われる可能性もあるでしょうから、そういった点で行政や教育委員会は、現行のまま教員に低賃金で部活動を指導してほしいと考えるはずです。
保護者が反対している
部活動地域移行では、ほとんど無償であった学校での部活動とは異なり、保護者には活動費の負担を求められる可能性があります。なぜなら、地域のスポーツ団体や民間企業に指導料や施設利用料を支払う必要があるためです。また、活動場所までの移動が容易であれば問題ないことですが、活動場所が遠方であれば、交通費の負担や送迎の必要性も生じます。また、移動時に事故やケガなど、何かしらのアクシデントが発生した場合の対応も、家庭や保護者の負担となります。活動場所が遠距離であればあるほど、事故に対する保護者の対応は遅れるかもしれません。
部活動に伴う費用ですが、学校の大部分の部活動では、少額の運営費を徴収しているでしょう。「部活動なら無料」という訳ではないことが多いです。部活動の地域移行で、運営費がいくらになるのかは地域にもよるでしょうが、学校での部活動より高額なるかもしれません。
指導者確保の難しさ
部活動地域移行では、指導者の確保が不可欠です。しかし、地域によっては、必要とされるスポーツ経験や指導経験を持つ人材が不足していて、適切な指導者の確保が難しいのが実情です。
特に、人口減少が進む地方では、指導者の確保がより困難です。また、指導者を育成する仕組みも整っておらず、指導者の育成・供給が限られていることも課題です。
だからと言って、教員による部活動では、指導者の役割を果たせているかと聞かれれば、その資質や技能は正直に言ってまかなえてはいません。部活動の顧問には素人もいます。経験者もいることにはいますが、プロではありません。間違った指導をしている可能性もあります。ゆえに、指導者の確保は難しいという現実があります。
教員が部活動の地域移行に反対している
教員の仕事の負担軽減、長時間労働の改善を目指して、部活動の地域移行を実施しようという世の中の流れになっているはずですが、教員の中にも、部活動の地域移行に反対している教員がいることも事実です。これに関してはこちら
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