『日本のバドミントンはなぜ強くなったのか?』 藤井 瑞希
光文社新書
始めに
ネットを挟んでラケットで羽根(シャトル)を打ち合うバドミントン。誰もが手軽にできるスポーツと思われがちですが、バドミントンが生まれた国を知っていますか。また、バドミントンの男女別・国別団体対抗戦の名前を知っていますか。
イギリスの植民地だったインドの「プーナ」という遊びがイギリス本国に紹介され、冬場の室内競技「バドミントン」と名前やルールを変えて流行します。バドミントンは他国でも盛んになり、国別対抗男子団体戦・トマス杯、女子団体戦・ユーバー杯という国際大会が生まれます。1960年代末から長く、日本女子はユーバー杯を保持する強豪国として世界に知られていました。
概要
バドミントン男子の強豪国は、バドミントンが国技のインドネシアやマレーシア、女子では日本とイギリスと長く言われていました。しかし、中国選手が国際大会に復帰するや、シングルス・ダブルス・混合全ての種目で上位を占めます。結果として日本勢は国際大会でほとんど勝利できなくなり、低迷することになります。
しかしバドミントンは、中学・高校女子の部活動では人気が高く、また、米山 稔氏創業のヨネックス社製ラケットやウエアーは、世界的に有名な商品です。このような状況にあった日本のバドミントンがレベルアップし、世界で注目されるようになった歴史を紹介した本が、『日本のバドミントンはなぜ強くなったのか?』です。
藤井選手は熊本県生まれ。姉の影響で5歳からバドミントンを始め、小学校、中学校時代から早くも全国大会で活躍します。青森山田高校に進学後もインターハイ等での快進撃は続き、ロンドンオリンピックの女子ダブルスでは銀メダルを獲得します。バドミントン日本がいかにして復活を遂げたかを、ナショナルメンバーとして世界の頂点を目指した著者が実際に目にし、体験したことを詳しく紹介した一冊です。
良さ
日本バドミントンの歴史を簡潔にまとめています。また、男子ダブルスの国際大会で金メダルを獲得した捧コーチの指導方針が、いかに適切で、昨今の実績につながっているかを述べています。加えて、ポイント制が導入されている世界大会に、選手はどのように臨んでいるかがよく分かります。
まとめ
日本女子の黄金期を知る人にとっては、日本のバドミントンが復活を遂げた経緯がよく分かる本です。また、日本バドミントンが、男女ともに世界の頂点に立った背景が詳しく書かれた本です。手軽に読むことのできる一冊です。
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