工藤勇一が引き起こした、高校受験における不平等 【東京23区の学力差は縮まらない】

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記事概要 工藤勇一は、千代田区立麴町中学校の校長として、評価基準を改定し、従来の定期テストを廃止して単元テストを導入しました。この改革により、麴町中学校の生徒は何度でも再テストを受けて高い内申点を得やすくなりました。しかし、この変更が都立高校の入試において不平等を引き起こし、他の公立中学校の生徒との公平性が欠ける結果となりました。

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工藤勇一とは

 1960年、山形県鶴岡市生まれの教育者。山形県立鶴岡南高等学校卒業。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県で数学の中学校教諭、東京都の公立中学校教諭、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを経験し2014年千代田区立麴町中学校に着任。その後、横浜創英中学・高等学校の校長となる。

改革で知られる麴町中学校は、あくまでも東京都内の公立学校の一つ

 千代田区立麴町中学校は東京都内の公立中学校の一つに過ぎません。特殊な教育方針や改革で注目される一方、その運営は他の公立中学校と同じ教育委員会の指導の下にあります。麹町という土地柄、長い歴史を備えた学校であり、多数の著名な卒業生がいます。それでも昨今、経済的に裕福で教育熱心な家庭は中学受験を好む傾向があり、公立中学校は「中学受験をしない子どもの受け皿」という扱いにされる傾向にあります。
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工藤勇一は、学校でつける評価・評定の基準を変え、麴町中学校の生徒が評定で高い数値を得やすくした

 
 千代田区立麴町中学校において校長であった工藤氏の改革の中で特に注目されたのが、評定の基準を改定した点です。多くの公立中学校が定期テストや宿題の成績を総合して評価・評定(内申点)を算出する中、麴町中学校では、中間・期末考査を廃止しました。これらの試験を廃止した代わりに、「単元テスト」を導入し、生徒は納得のいく点数に到達するまで何度でも再テストを受けられるようにしました。その結果、従来の基準では平均的な評価にとどまる生徒が、相対的に高い評価・評定(内申点)を得られる状況が生まれました。

内申点は高校受験の際の重要な指標になる

 都立高校の入試では、学力検査の得点と内申点の両方が合否を決定する重要な指標となります。内申点は中学校3年間の成績や学習態度を反映するもので、生徒の努力や成果を総合的に評価するために使用されます。そのため、内申点の付け方に中学校間で大きな違いがある場合、合否を同じ条件で競争するという原則が崩れてしまいます。

 また、私立高校入試の単願推薦・併願推薦では、公立学校の生徒の評定が基準となることが多い傾向です。つまり、公立学校の生徒の評価及び評定は、生徒の進路を大きく左右する重要な指標ということです。

麴町中学校の生徒だけ内申点が高い状態で高校受験に臨めるのは、他の公立学校出身の生徒にとって不平等

 麴町中学校の生徒が他校の生徒より高い内申点を得やすい仕組みは、都立高校受検における公平性を著しく損ないます。都立高校の入試は、東京都内全体の生徒が同じ基準で競争することを前提にしていますが、工藤勇一が行った成績の付け方では、それが守られていない、都立高校受検を乱していると言わざるを得ません。

 この状況は、他の公立中学校に通う生徒やその保護者に不満や不公平感を生む原因となっています。都立高校入試が公平であるためには、全ての中学校が共通の評価基準を用いる必要があります。特に、内申点に影響を与える評価基準の違いは、高校受験を控えた生徒たちに直接的な影響を及ぼします。

結論

 工藤勇一が千代田区立麴町中学校で行った教育改革は、革新的な試みではあり、評価される点もあるものの、内申点の不平等を引き起こす結果となっています。都立高校入試における公平性を保つには、東京都内全域での評価基準を統一し、全ての生徒が平等な条件で競争できる環境を整えることが必要です。人気取りやえこひいきと誤解されかねない「改革」は、改革に値しません。この問題を解決するためには、教育界全体での議論と改善が不可欠です。

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