非行の後始末を全て教員に押し付ける生徒指導(生活指導)【教員業務効率化への提案】

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記事概要 昨今の公立学校教員の仕事には、労働時間が長いとか、ブラックといった印象がつきまといます。難しい話ではありますが、公立学校教員の業務の公立可を図れそうな改善案を紹介していきます。今回は、学校外での生徒のトラブルに、果たして教員が対応すべきなのかということについて解説しています。
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生徒指導か生活指導か

 文部科学省による出版物に、『生徒指導提要』という分厚い書物があります。12年ぶりの改訂で、令和4年発行されましたが、「生徒指導とは、児童生徒が、社会の中で自分らしく生きることができる存在へと、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える活動のことである。なお、生徒指導上の課題に対応するために、必要に応じて指導や援助を行う」と再定義されています。分かったようでよく分かりませんが、現場の教員からすれば、教科(学習)指導以外は皆、生徒(生活)指導ではないかと感じます。

 さて、見出しを「生徒指導(生活指導)」としましたが、何かとへそ曲がりな東京都では「生活指導」という語を、文部科学省では「生徒指導」という語を使っています。両者の違いは微妙です。ただし、「生徒」が中学生や高校生を表す語であり、指導の対象に児童も含まれているので、「生徒指導」より「生活指導」のほうが適切な表現かもしれません。

生徒(生活)指導の歴史

 我が国の教育制度は第二次世界大戦を境に大きく変わりました。戦前の義務教育は小学校の6年間でしたが、経済的な理由で卒業せずに奉公(働き)に出る子どももいました。男の子は坊主頭、女の子はおかっぱが大多数という時代ですので、「生徒指導」や「校則」などの言葉とは無縁だったようです。とはいえ、現在の小学校でも、「校則」などとは無縁かもしれませんが。

 第二次世界大戦後の昭和22(1947)年から、我が国の義務教育は中学校卒業までの9年間となります。戦後の混乱期ということもあってか、昭和26(1951)年には少年非行がピークを迎え、この時初めて「生活指導」という語が登場します。そして、昭和40(1965)年に作成された『生徒指導の手びき』で初めて、指導の規定や内容が詳しく示されます。

 手びきには、児童・生徒の人格形成や個性の伸長についての段や方法が記されていますが、中学・高校での「生徒(生活)指導」といえば、それは飲酒や喫煙という非行行為の予防や対策や後始末、問題行動を繰り返す生徒への対応が現実です。

バイバイ、生徒(生活)指導

 『生徒指導提要』の目次を見るだけで、以下のことが分かります。生徒指導は教科から特別活動まで、教育課程の全てに関連すること。生徒指導は、いじめ、暴力行為、少年非行、児童虐待、不登校、性に関する課題などありとあらゆる課題に対応すること。

 教員の職務の軽減が話題になっていますが、生徒指導の守備範囲が拡大されることをどのように理解すればよいのでしょうか。生活指導の困難地域では、放課後にさまざまな苦情の電話が入ることがあり、慌てて教員が出動することがありました。自校の生徒の不始末ですので、学校や教員は対応に努めますが、自分や地域の子どもの不祥事は、家庭や地域で対応する態勢が整うことを願うばかりです。

 飲酒、喫煙、万引きなどの不良行為からバイバイできると、より働きやすい学校となることでしょう。
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