教採の論文の書き方 過去問の分析を基にした本論の『策』の例文解説【東京都教員採用試験】

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記事概要 東京都の教員採用試験の1次試験には論文問題があります。論文は「序論・本論・結論」の3部構成で書くと、1次試験に合格につながる傾向があります。今回は、論文の中で最も重要な「本論」の構成となる「(柱)・論・(例)・策」のうちの、「策」の書き方を『論文問題の傾向の分析と来年の出題予想』を参考にしながら、『策』の例文を示して解説します。
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なお、教員採用試験の論文の書き方で使用されている用語の意味が分からなければこちら
教採の論文の書き方 論文の基礎『序論・本論・結論』 【東京都の教採は独学でなんとかなる】

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また、策の書き方の参考はこちら

教採の論文の書き方 本論の「(柱)・論・(例)・策」の策の書き方【東京都教員採用試験】
記事概要 東京都の教員採用試験の、1次試験の一つである論文を書く際には、「序論・本論・結論」の順番で論文を書くと、1次試験に合格しやすいものです。今回は、論文の中で最も重要な「本論」を構成する要素である「(柱)・論・(例)・策」のうちの、策...
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前提の1 論文の問題予想

 下部リンクの『教員採用試験の論文問題の傾向の分析と来年の出題予想』という記事で、2024年度以降の東京都の教員採用試験の論文の問題は、「道徳心、積極性、表現力、思いやり」の指導について出題されると推測しました。ゆえに本記事では、道徳心、積極性、表現力、思いやりの4パターンに分けて策の書き方を解説します。
教員採用試験の論文問題の傾向の分析と来年の出題予想はこちら

教員採用試験の論文問題の傾向の分析と2024の出題予想 【東京都の教採は独学でなんとかなる】
記事概要 近年の東京都の教員採用試験の、論文問題の傾向を分析します。結論として、これまでの校種別出題ではなく、小学校・中学校・高校で問題が統一されたことから、今後は専門性よりも具体性が求められる出題となるでしょう。 これに関する動画はこちら...

前提の2 本論の柱に最適な文言

 東京都の教員採用試験の論文では、本論を「(柱)・論・(例)・策」の流れで、二段構成にします。そして、本論を学習指導と学級指導・生活指導の2観点で書くことが理想的です。この論文では、「柱」は必ずしも必要な要素ではありませんが、本論の「策」の書き方及び例文を解説するに際して、「柱」は
1 学習指導の面で、論文の必須部分
2 学級指導・生活指導の面で、論文の必須部分
というような2つの観点とし、論の内容を表明します。なお、学習指導、学級指導、生活指導に関する幾つかの「策」を挙げますので、それらを参考にして実際に受験する教科の「策」を完成させてください。
柱の解説の動画はこちら

論文の課題が「道徳心の育成」の場合の『策』の例

 教科の授業だけでなく、「絶対に他者の意見を批判しない」を前提に私は道徳の授業に取り組む。まず、教材文を生徒に読ませ、自分ならどう行動するかを班でディスカッションさせる。次に、班でのまとめを動作を交えて発表させる。このような授業を継続し、他者の意見や考えを知り、また、他の班の発表から学ばせることで、道徳心の育成を図っていく。

 何度も聞くより一度見たほうが理解できることを「百聞は一見に如かず」と言うが、それと同じく、「百聞は一体験に如かず」と私は考える。私は生徒に、地域で行われる清掃活動や町おこしボランティア活動を紹介し、積極的に参加させることで、地域への貢献やコミュニティの一員としての責任を実感させる。さらに、私自身が地域との交流活動に自主的に参加し、楽しむことで、地域と交流することのすばらしさと、交流することによる共感の気持ちを生徒に抱かせ、道徳心を養う。

 生徒間で道徳心を育ませるために、上級生は下級生に範を示すよう継続して指導する。上級生が行動の見本となることで、下級生には学校の決まりを進んで守ろうとする意識を生じさせる。上級生の態度や姿を通じて、学校生活でどのように行動するべきかを下級生に学ばせる。行動模範を学校の伝統とすることで、学校全体として道徳心を育成していくことを恒久化していく。部活動でも、上級生が下級生の手本になることを継続して指導し、あらゆる活動を通して道徳心を育成する。

 道徳の教科書に加え、ニュース記事や書籍などを教材として道徳的な問題を議論する場を設ける。ロールプレイングやディベートなどさまざまな方策で自身の考えを整理させ、さまざまな視点で問題を考える機会を設け、道徳的な判断力を養う。心に葛藤をもたらす不道徳な行いや問題に直面し、自身の考えを整理し、議論することで、生徒の道徳的な判断力を養っていく。

論文の課題が「積極性の育成」の場合の『策』の例

 積極性を育成するために、まず、生徒が自己肯定感を高められる環境を整える。肯定的なフィードバックや達成感を共有する機会を増やし、失敗をチャンスと捉えるよう促す。次に、興味や関心を引き出す学習内容や学習活動を導入し、生徒が自ら学ぶ意欲を高める。また、目標設定や計画立案をサポートし、進捗状況を定期的に振り返る。そして、協力やリーダーシップを重点とするグループ活動やプロジェクトを導入し、他者との交流を通じて自己成長の機会を提供する。さらに、生徒が自ら考え、主体的に行動する力を養うために、問題解決やディスカッションを主体とする授業を進めることで、生徒の積極性を育成し、自己成長を促す。

 積極性を育成するには、対話的かつ参加型な授業であるアクティブラーニングを進めることが重要である。グループディスカッションやディベートを通じて、生徒が自ら考え、意見を述べる機会を提供する。また、問題解決型の活動を取り入れ、生徒が積極的に課題に取り組み解決策を探究するよう促す。定期的なフィードバックや評価を通じて、生徒の成長を確認し、自信を持たせる。さらに、現実的なシナリオやプロジェクトを取り入れ、実践的なスキルや知識を身につけさせる。また、アクティブラーニングは、教師と生徒の間の関係を強化し、信頼関係を築くことにも繋がる。教師は生徒の関心やニーズに応え、個々の学習プロセスをサポートすることで、生徒の積極性を引き出す。これにより、生徒は自ら学び、成長に欠かせない積極性を高めることができる。

 私は学級担任として、「挑戦なくして成功なし」を学級目標とし、苦手な係や未経験の当番に挑戦することの意義や価値を子どもたちに語り続ける。児童の意識を変えるために、まず、どのような係や当番を苦手としているかを調査する。次に、調査結果で明らかになった迷いや課題への具体的な対応策や解決策を経験者に発表させ、児童の苦手意識を緩和させる。係や当番を複数で、できれば経験者と担当させることで、一人一人に成功体験を積ませる。体験を記録させ、追記させ、申し送りさせることで、一人一人の積極性を育成する。
   
 私は、毎時の授業で、グループ内で話し合う機会を設け、全ての児童が必ず発言することを目標とさせる。話し合いの内容を発表させ、「発表や発言したという姿勢」を褒め、評価する。挑戦する「姿勢」を褒めることで、生徒に自己肯定感や満足感を認識させる。さらに、一人一人の努力や工夫を終礼や学級だよりなど改めて紹介し、学級全体や保護者と共有し、すべての児童が自主的、自発的に学習したり活動させたりるして積極性を育成する。

論文の課題が「表現力の育成」の場合の『策』の例

 私は学校に顕在する問題を生徒に発見させ、問題への対応策と改善策に取り組ませることで生徒の表現力を育成する。さらに生徒の特性により標語班、ポスター班、映像班に所属させ、作品作りに取り組ませる。途中経過を発表させ、表現の効果について意見交換させ、より良い作品となるよう試行錯誤させることで表現力を育成する。生徒が考えた対応策と改善策をお互いに見て、効果的な表現の方法を生徒同士学ばせる。

 クリエイティブな活動やディスカッションを通じて、生徒が自由に意見を述べる機会を提供します。また、定期的な朗読や話し合い活動を通して、自信を持って意見を表現する力を養います。さらに、ライティングやプレゼンテーションの指導を通じて、論理的かつ魅力的な文章やスピーチを構築する能力を向上させます。そして、フィードバックを重視し、生徒の成長に応じて個別のサポートを提供することで、彼らの表現力を効果的に育成します。

 創造的な活動や議論を通じて、生徒が自由に表現する機会を多く提供する。また、朗読や暗唱の練習を通して、自信をもって表現する態度を養う。さらに、ライティングやプレゼンテーションの指導を通じて、論理的かつ魅力的な文章表現力を向上させる。そして、フィードバックを重ね、生徒の成長に応じて個別にサポートすることで、一人一人の表現力を効果的に育成する。表現の機会を地道に計画的に、何度も与えることで、生徒の表現の能力を伸ばす。

 表現力の基盤は語彙力である。生徒の語彙力を伸ばすために、生徒に読書する環境や機会を提供する。まず、限られた時間でも私が読書する姿を生徒に示す。学級活動の時間を読書に充て、生徒が読書に親しむ機会を与える。また、生徒に辞書をまめにひかせ、生徒の「脳内辞書」を充実させる。さらに、200字程度の短作文を書かせたり、3分ほどのスピーチを行わせたりすることで表現力を養っていく。

論文の課題が「思いやりの育成」の場合の『策』の例

 算数の授業で問題演習早く終えた児童を「助手」とし、問題演習に苦慮する児童に解き方を教えさせる。問題の解き方がわからない児童はわからない箇所を質問し、「助手」は理解の手助けとなる教え方を学ぶ。何かに困る人を助けることを習慣化させ、思いやりの精神を養う。困りごとが解消した児童が他の児童を助けるという正の連鎖により、生徒同士を思いやり、協力する精神を養う。

 思いやりの心を育成するために、他者の思いや立場を生徒が理解する機会を意図的に設定する。例えば、グループディスカッションや役割演技などを通して、相手の立場に立って考え、率先して行動する力を養う。また、共同作業やボランティア活動を通じて、他人を助けることの意義や喜びを実感させる。さらに、感謝の意を表すことを習慣化させ、生徒の間に思いやりの文化を根付かせる。

 実際に車いす体験や高齢者体験、職業体験などの特別活動で行うことで、障害者や高齢者がどのような困難を抱えているかを生徒は実感することができる。こうした体験は、社会の一員としての責任感や思いやりの心を生徒に育むきっかけとなる。そこで、近隣の高齢者施設と連携し、高齢者の話を聞いたり一緒に歌ったりゲームをしたり身をもって経験させることで、生徒に敬老の心や思いやりの心育む。

総括

 論文の問題がどうであれ、上記の例はやや手を加えることで、さまざまな出題に適応できる内容です。他の課題でぜひ試してみてください。上記以外の例に関しては、過去の論文の解答例の中から探してみてください。
過去の論文の解答例はこちら

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