記事概要 東京都港区立の全公立中学校の修学旅行先が海外となることが先日発表されました。訪問先がシンガポールということで、世間で話題となり、その賛否が報道されもしました。しかし、修学旅行の生き先や活動内容を決めるのは、本来は誰でしょうか。区長の一存?で決定してよいものでしょうか?
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参考
https://www.city.minato.tokyo.jp/houdou/kuse/koho/houdouhappyou/documents/yousiki2.pdf
修学旅行を決めるのは誰か
中学、高校の思い出深い宿泊行事である修学旅行。東京都の公立中学校では、3学年で行われることが一般的ですが、その詳細を決めるのは誰でしょうか。2泊3日などの日程以外は、実は校長(学校)が決定し、校長は届けを区市町村の教育委員会に提出します。
第2次世界大戦後の東京都の場合、修学旅行専用列車「ひので号」が運行されたこともあり、行き先は京都・奈良一色でした。しかし、修学旅行に東海道新幹線が利用できるようになったり、東北新幹線が開通したりした結果、広島市までの修学旅行や東北地方を巡る修学旅行が計画・実施されました。これらは、行き先の決定権が校長にあって実現できたことです。したがって、区長や区市町村教育委員会が修学旅行先を決めたとしたら、問題ある決定とも考えられます。
2泊4日の修学旅行
公立中学校の修学旅行というと、2泊3日が定番ですが、港区が実施する修学旅行の日程は、3泊5日となるようです。それにしても、出入国にかかる時間やフライトの所要時間を考えると、3泊5日でも実質は2日間の滞在かもしれません。
先に、修学旅行専用列車にふれましたが、関西からの帰りの「ひので号」は夜行で、車内で1泊するという、2泊4日の修学旅行でした。3日目の昼過ぎには帰路につく現在の修学旅行と比べ、「ひので号」時代では3日目の夕方まで有効活用できましたが、それも今は昔の話です。
50万円は、高いか安いか
NHKの先日のニュースでは、シンガポール行き修学旅行の費用を60万円と報道し、50万円の誤りでしたとお詫びしていましたが、どの航空会社を使い、どの程度のホテルに泊まるにしても、50万円はやはり高額だと思います。嘘か誠か、昔の修学旅行は、費用を掛けずに古都を巡ることを目的としていたそうですが、現在の修学旅行は、必ずしも割安な旅ではありません。ちなみに、東京都内の公立中学校が2泊3日で京都と奈良に修学旅行に行く際には、費用はだいたい7万くらいです。もちろん50万に比べたら京都奈良の7万円修学旅行は破格ですが、食事も宿泊所も申し分ないくらいの旅行です。
港区が計画する海外修学旅行では、国内での旅行との差額を区が支出するという説明ですが、就学援助を受けている場合は、区が全額を支出することでしょう。引率する教員は、出張ですので、費用は全額支出されるはずです。しかし、必要経費はすでに計算され、予算のめどもたっているはずですから、高い安いを判断・批評するのは他者ではなく、港区民の特権です。
シンガポール旅行が魅力で、区立中への入学希望者が増えるかどうかは疑問ですが、港区立中学校勤務や港区立中学の3学年所属を希望する教員は増えるかもしれません。
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