私立高校の授業料無償化の理由と背景 【本音と建て前】

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記事概要 近年、私立高校の授業料を無償化にする方向で政治が進んでいる。今回は、なぜ私立高校の生徒への就学支援金を増やす方向で社会が進んでいるのかについて解説していく。

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ニュース概要

 2025年度予算案の修正を巡り、高校授業料無償化について私立高の生徒への就学支援金を26年度から「45・7万円ベース」に引き上げると明記し、社会保障改革に向けた協議体設置を盛り込んだ。

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子育て世代へのアピール

 私立高校の授業料無償化は、政府や地方自治体が子育て世代に対して行う政策的なアピールの一環である。近年、少子化が深刻化し、子育てに対する経済的負担の軽減が大きな社会的課題となっている。特に都市部では、教育費の高さが子どもを持つことへの心理的なハードルとなるため、授業料無償化によって「教育費がかからない社会」を演出することは、子育て支援政策としてのアピール材料となる。

 また、教育格差の是正という建前も掲げられることが多い。経済的理由で進学を諦める家庭を減らし、どの生徒にも等しく教育の機会を提供するという目的があるように見える。しかし、実際には無償化による恩恵を受けるのは主に中間層以上の家庭であり、本当に経済的に厳しい家庭には十分な支援が行き届いていないという指摘もある。

地方公共団体が公教育への支出を減らしたい

 私立高校の授業料無償化には、地方公共団体の財政的な事情も大きく関係している。地方自治体は、公立高校の人件費や運営費や設備管理・維持費に多額の予算を費やしており、その負担を軽減したいという思惑がある。

 公立高校の数を減らし、その役割を私立高校に代替させることにより、地方自治体には、教育にかかる支出を削減できるというメリットがある。私立高校の授業料無償化を進めることで、公立高校の役割を縮小し、長期的に公教育への支出を抑える狙いがあると考えられる。

私立高校の授業料無償化にはどんな影響があるか

 私立高校が授業料無償化によって公立高校並みに手の届きやすい選択肢となれば、保護者や生徒も私立を選びやすくなる。しかし、。しかし、私立高校に進学する生徒が増えれば、公立高校に進学する生徒が減る、入試倍率は下がる、入学してくる生徒の学力が下がるといった可能性が出てくるので、公立学校教員としては面白くない状況であろう。公立高校が縮小すれば、教育の選択肢が減り、地域によっては進学の機会が狭まる可能性もある。また、私立高校の授業料無償化が進んだとしても、設備費や教材費などの負担が依然として残るため、本当に「無償」とは言えない状況も生まれている。

結論

 私立高校の授業料無償化には、単なる子育て支援ではなく、地方自治体の財政負担を軽減する目的が背景にある。表向きは「誰もが高校に進学しやすい社会の実現」とされているが、実際には公教育への支出を抑えるための戦略として進められている側面が大きい。今後も公立高校の統廃合が進む中で、私立高校がどのような役割を果たしていくのかが重要な課題となるだろう。

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