そもそも「学校」とは
「そもそも学校とは、どのようなものでしょうか」と質問されたら、どのような答えが返ってくるでしょうか。「先生と児童・生徒がいて、校舎があって勉強する所」あたりが妥当なところでしょうか。
さて、我が国の法律に基づけば、学校教育法第1条に示されている、「幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学・高等専門学校」が「学校」です。簡単に説明すれば、学習指導要領に基づいた教育を行う学校、言い換えれば、文部科学省や教育委員会から注意や指導を受けない学校ということです。
この基準によれば、朝鮮人学校は「学校」とは認められない「学校」、国や都道府県からの支援や援助や管理の対象外の「学校」ということです。
朝鮮人学校はなぜ「学校」ではないのか
朝鮮人学校は「学校」ではないと書きましたが、誤解を招くといけません、正しくは学校教育法第1条校ではないということで、実際には「各種学校」に分類され、日々さまざまな教育活動が行われています。朝鮮人学校が設立された起源や目的は海外にある日本人学校と同じで、海外に居住する子女に、自国の教育を行うことです。しかし、朝鮮人学校には、やや複雑な背景があります。多くの日本人学校は、保護者の長期出張に伴って海外に暮らす児童や生徒に、日本の教育を行うことを目的に、現地の日本人会等を主体として設立されています。
簡単には説明できませんが、朝鮮半島出身の人々には、意に反して日本での生活を余儀なくされた方がいます。そして、第二次世界大戦後の朝鮮戦争で、北緯38度線を境に朝鮮半島が南北に分断され、北に朝鮮民主主義人民共和国が、南に大韓民国が誕生します。
この朝鮮民主主義人民共和国の教育を基本とする学校が朝鮮人学校で、日本国内には幼稚園から大学まで設置されています。これらはみな、学校教育法第1条校ではありません。また、在学する児童・生徒の保護者は、朝鮮民主主義人民共和国に縁の深い方々です。
一方、大韓民国の教育を基本とする学校が韓国学校で、日本国内の学校数はわずかで、学校教育法第1条校と各種学校とがあります。なお、韓国学校で学ぶ日本人もいて、今夏の硬式高校野球で優勝した京都国際高校では多くの日本人生徒が在籍しています。
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