記事概要 先日、中国の深圳の日本人学校に通う生徒のいたたまれない事件がありました。被害に遭われた児童ならびにご遺族の皆さまに、心よりご冥福をお祈りいたします。この事件のために私Garudaにできることはあまりありませんが、海外の日本人学校の生徒についての理解が深まるような文章を書いていきます。
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「登竜門」という故事成語があります。この語は、中国の黄河の中流に、「竜門」という流れの速い箇所があり、そこを上りきった鯉は竜となるという言い伝えから生れたと言われます。そしてこの語の意味は、「達成の難しい試練や関門」とか、「成功の先の栄華や立身出世」と説明されるのが一般的です。けれど、流れの度合いがさまざまな「竜門」は私たちの身の回りにあちこちあり、努力してそれらの「竜門」を越えると、「竜」には至らなくても、確かな変化や成長が得られると考えられるのではないでしょうか。
さて、在外教育施設である日本人学校は、上海校やシンガポール校等の一部を除き、多くは小学校・中学校が併設された小規模校です。朝礼を始めとして、学校行事は小学一年生から中学三年生までが一緒に行います。したがって、朝礼での挨拶などは、「おはよう ござい まーす」というようなのんびりしたものになりますが、これは中学生や中学校の教員にはじれったく感じられます。
学校でのクラブ活動や委員会活動、部活動などは、小学3年生から中学3年生までがともに活動します。当然と言いますか、必然と考えますか、それぞれの組織の長や代表は中学生が務めることになります。つまり、日本人学校に通うほぼ全員の中学生が、「竜門」に臨むということです。しかも、毎年、複数の「竜門」に臨まされ、「竜門」を泳ぎ切ることを求められることさえあります。
たとえ小さくとも、組織の先頭に立ち、組織を引率する経験を積むことで、日本人学校の児童・生徒は積極性やリーダーシップを自然と身に着けていきます。
先日、中国深圳日本人学校に通う10歳の児童に、いたましい事件が起こりました。被害に遭われた児童ならびにご遺族の皆さまには、心よりご冥福をお祈りいたします。10歳という報道ですから、小学4年か5年生でしょうか。まさに「竜門」に初めて対面する年齢です。被害に遭われたお子さんには、さまざまな可能性が秘められ、さまざまな「竜門」を泳ぎ切り、さまざまに活躍するチャンスがあったことでしょう。それだけに、無念でなりません。
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