記事概要 先日、中国深圳日本人学校に通う10歳の児童に、いたましい事件が起こりました。被害に遭われた児童ならびにご遺族の皆さまには、心よりご冥福をお祈りいたします。この事件に関しまして、私Garudaにできることはまずありませんが、海外の日本人学校の児童・生徒についての理解が深まるような文章を書いていきます。
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さて、新型コロナウイルス感染症の鎮静化に伴い、海外旅行熱が高まりつつあります。国際線のエアターミナルが込み合う映像を目にすると、一時期の人気がなく、照明が落とされ、ひっそりした状況がうそのようです。言わずもがなのことですが、海外を旅することと海外で暮らすことは違います。添乗員のいるツアー旅行であれば、食事や宿泊や入場券等の心配なく名所・旧跡を訪れ、満足感や充実感を味わえるかもしれません。また、『もう少しいたかった』『また行ってみたい』と思うかもしれません。
けれど、海外で暮らすとなると、楽しいことばかりではありません。まず、気候が違います。日本人学校には、「不健康地帯」とされる地域に所在する学校があります。その判定が正しいとすれば、そこでの児童・生徒は「不健康地帯」で日々を送っていることになります。なお、「不健康地帯(嫌な表現ですが)」に派遣された教員には、健康回復に関して特別な配慮がなされています。
「不健康地帯」ではなくとも、熱帯では、高温の晴天が続く「乾季」と、一日に一度スコールに襲われる「雨季」があります。また、蚊が媒介するマラリアやデング熱や、食べ物や水が原因のA型肝炎や赤痢が一年を通じて発生します。人間に敵対するアカアリやサソリ等の昆虫も身近な存在です。
コメを始めとする日本の食料品類は、小規模の専門店が頼りですが、時に品薄となるため備蓄が欠かせません。なお、違法か否かは不明ですが、消費期限切れの菓子類が現地のスーパーマーケットの棚に並ぶことがあります。食べて問題はないでしょうが、買うか買わないか、悩むばかりです。
水にはもちろん注意を要します。一流ホテルで出された水で、原因不明の下痢に数日間悩まされることがあります。多くの家庭では、水道水を沸騰させ、冷蔵庫で冷やしたものを飲料水としていますが、洗顔や歯磨きには蛇口の水を恐る恐る使うことが常でした。
早朝から拡声器で流される宗教の説法。我が物顔で走る自動車やオートバイが引き起こす交通渋滞に大気汚染。銃を持ったガード(マン)が配備された銀行や百貨店。
このようは国や地域で生活する児童や生徒にはたくましさが必要です。さまざまな経験で、自分で自分を守る手段を知らずに身に着けます。中国深圳で襲われた児童も、周囲に注意を払いながら生活していたことでしょう。けれど、避けることの不可能な災難に遭ったのかもしれません。ただただご冥福をお祈りするばかりです。
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