記事概要 昨今の公立学校教員の仕事には、労働時間が長いとか、ブラックといった印象がつきまといます。難しい話ではありますが、公立学校教員の業務の公立可を図れそうな改善案を紹介していきます。今回は、過去の人事考課制度と自己申告制度について解説していきます。
的を射ていなかった人事考課制度
勤務評定
働き手の勤務態度や勤務実績を把握し、評価することを勤務評定といいます。これは主に管理職の職務ですが、「全体への奉仕者である」公務員も、もちろん勤務評定の対象です。けれど、教育公務員(教員)は、戦後しばらく勤務評定の対象外とされていました。
昭和30年代になり、教員にも勤務評定が実施されましたが、その実態は形式的で、評定が給与等に反映されることはありませんでした。黙っていても給与が毎年上がることから、「部活動をやるやつは馬鹿だ」「できるだけ遅く学校に来て、できるだけ早く帰宅したほうがいいんだ」と公言する教員もいました。
人事考課と自己申告制度
時代の要請からか教員への厳しいまなざしからか、校長による教員の勤務評定が給与に、つまり、翌年度の昇給に反映されるようになりました。東京都では、平成12年から人事考課制度が導入されました。具体的には、校長が年度当初に提示する学校経営方針に基づき、教員は教科指導や生活指導の年度目標や手立てを自己申告書に記入・提出します。その後、校長・副校長は日々の授業観察に努め、学期ごとの三者面談で目標の進捗状況を確認します。申告した内容に遅滞が生じている場合には、適切な指導や助言を行います。そして、教員の自己評価を年度末に自己申告書に記入・提出して一年の締めくくりとします。
人事考課制度の問題点
自己申告には欠くことのできない、校長が作成する学校経営方針。形式は自由ですが、そもそも校長の職務は「管理」であって、「経営」者ではありませんので、経営方針を作成することには疑問が生じます。作成するにも、自己申告書に配慮するなど、本末転倒の観があります。書かされる教員も、苦心して書きはしても見直すのは2学期です。そしてその時には、書いた内容を忘れているのが現実です。
学期ごとに行わなければならない面接。授業時間の45分、50分で終えられるのはせいぜい2人です。教員数が少なければまだしも、特別支援学校のように100人もの教員がいる学校では、面接するだけで一学期が終わってしまうという悲鳴も聞こえます。
そして、年度末に教員が記入する5段階による自己評価。優秀な教員であればまだしも、課題の多い教員が自身を「A」と評価することには驚かされます。さらに、開示請求制度を使って校長による評価を入手し、不服であれば校長室まで理由を尋ねに来る教員に対応することには、何だか残念なことです。
※ 始められた制度を中止することは難しいことですが、中止しても実害はないでしょう。
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