文科省の在外教育施設への海外派遣制度の裏事情

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記事概要 在外教育施設(日本人学校・授業補習校)の教員になるには、年に1度行われる選考に合格しなければなりません。文部科学省からの通知文(募集案内)が都道府県教育委員会、区市町村教育委員会を経て各学校に届くまで、かなりの日数を要することがあります。それを待って応募書類を書いたり健康診断を受けたりでは、応募の締め切りに間に合わない可能性があります。『日本人学校の先生になろう』と思う人は、前年度から学校管理職に意思表示し、必要書類を入手することをお勧めします。今回は、文科省の在外教育施設への海外派遣制度を利用していく方法についての裏の事情について解説していきます。

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国や地域を希望したら、不合格になる

 文科省の在外教育施設への海外派遣制度による教員の海外派遣を志望し、必要書類を提出すると、区市町村教育委員会による選考、主に面接があります。続いて、都道府県教育委員会による選考がありますが、服装や髪形まで注視しているようです。これを通過すると、いよいよ文科省での最終審査です。指定され席に座ると、机上には派遣希望先についての2枚の意向調査があります。1枚は「どこへでも行きます」で、もう1枚は「どこどこに行きたい」で、所属・氏名を記入し、押印して提出します。「どこへでも行きます」としないと、不合格という話があります。

派遣を拒否したら将来はない

 9月に行われることの多い文科省の在外教育施設への海外派遣制度での審査結果は、通常12月に合格者に内示されます。つまり、不合格者には音沙汰なしということです。派遣先の国名や地域名を知らされて、「赴任を辞めます」と答えると、教員としての将来はない、具体的には、管理職にはなれないという話があります。

 そもそも赴任先を校長から告げられ、校長の目の前で教育委員会に電話させられ、電話口の担当者から「先生、おめでとうございます。赴任されますよね」と勢いよく尋ねられれば、「はい」と答えてしまうものです。電話が切られた後で、茫然自失する教員もいるそうです。文科省の在外教育施設への海外派遣制度では、志望者は赴任先を選ぶことはできません。誰もがパリに行かれるわけではありません。来年の4月から、バングラデシュや南アフリカに赴任してくださいと言われて、「やったあ」と思うことができる教員がどれだけいるでしょうか。発展途上国では、「病気になったら死を覚悟する必要がある」や「治安が悪くて強盗などに襲われる可能性がある」などの不安のほうが強い印象があります。

金がないと在外教育施設の教員にはなれない

  派遣選考の合格者は、1月に行われる10日間の宿泊研修に全国から集められ、この時初めて同僚となる教員の顔や名前を知ります。「派遣教員の手引き」が配られ、国別の給与や住宅費等を初めて知ります。加えて目にするのが、赴任先の学校が自作した、生活全般についての案内です。派遣先によって事情は異なりますが、持参する金額の大きさに驚かされます。7桁はもちろん、円安の影響もあり国によっては8桁程度の金額を準備する必要がある派遣先も存在します。あまりにも高額な準備費用を知り、「派遣を辞退する」と本気で口走る教員もいます。

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