記事概要 東京都の教員採用試験の1次試験には論文問題があります。論文は「序論・本論・結論」の3部構成で書くと、1次試験の合格率が高まります。今回は、論文の中で最も重要な「本論」の構成となる「(柱)・論・(例)・策」のうちの、「例」の書き方を『論文問題の傾向の分析と来年の出題予想』を参考にしながら、『例』の例文を示して解説します。
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なお、教員採用試験の論文の書き方で使用されている用語の意味が分からなければこちら
教採の論文の書き方 論文の基礎『序論・本論・結論』 【東京都の教採は独学でなんとかなる】
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前提の1 論文の問題予想
下部リンクの『教員採用試験の論文問題の傾向の分析と来年の出題予想』という記事で、2024年度以降の東京都の教員採用試験の論文の問題は、「道徳心、積極性、表現力、思いやり」の指導について出題されると推測しました。ゆえに本記事では、道徳心、積極性、表現力、思いやりの4パターンに分けて例の書き方を解説します。
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前提の2 本論の柱に最適な文言
東京都の教員採用試験の論文では、本論を「(柱)・論・(例)・策」の流れで、二段構成にします。そして、本論を学習指導と学級指導・生活指導の2観点で書くことが理想的です。この論文では、「柱」は必ずしも必要な要素ではありませんが、本論の「例」の書き方及び例文を解説するに際して、「柱」は
1 学習指導の面で、論文の必須部分
2 学級指導・生活指導の面で、論文の必須部分
というような2つの観点とし、論の内容を表明します。なお、学習指導、学級指導、生活指導に関する幾つかの「例」を挙げますので、それらを参考にして実際に受験する教科の「例」を完成させてください。
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教採の論文問題が「道徳心の育成」だった場合の本論における「例」
教室の掃除をさぼる生徒がいた。君がさぼれば、誰が君の代わりをするのか、班での活動を自分だけやらなくてよいものか、掃除をしなくなればどうなるのかと私が諭すと、生徒はなぜ掃除をするかを考え、態度を改めた。
困っているクラスメイトがいても我関せずという姿勢を貫く生徒がいた。私は、異郷出身でありながらインドで献身的な活動をしたマザーテレサや、黄熱病の研究に没頭しアフリカで亡くなった野口英世といった偉人の話を生徒にし、誰かを助けることの偉大さを説明すると、生徒は自律的に行動するようになった。
学校生活では、異年齢集団で活動する機会が多々ある。立場や年齢が違う人と関わる際、どのような行動が最適なのかを考えさせることは、生徒の模範意識の向上と道徳心を高めることにつながる。
教採の論文問題が「積極性の育成」だったときの本論における「例」
クラスの委員決めで立候補をためらう児童がいた。「まずやってみよう。失敗は私がカバーする。」と伝えると、その児童は委員に立候補した。活動の様子を語らせ、努力をねぎらった結果、児童は自信を深め、授業でも積極性を発揮するようになった。
家庭科の授業で、裁縫の課題に行き詰まり、ため息をつく生徒がいた。私はまず生徒の努力の過程を褒め、次に生徒の迷いやつまずきを尋ね、解決策を共に探ると、生徒はやる気を出し、裁縫の課題をやりぬいた。
失敗を恐れ、失敗を極度に厭う生徒がいた。教育実習中の運動会の障害物競走で私は転倒し、大恥をかいた。それを見た多くの観客が大声で応援してくれた様子から、「失敗から得るものも大きい」ということを学んだと生徒が話してきた。
教採の論文問題が「表現力の育成」だったときの本論における「例」
ダンスの授業で体の使い方に苦戦する生徒がいた。生徒が表現したい思いを私は詳しく尋ね、適切に助言した結果、生徒のダンスの質が上がった
読書による語彙力や表現力の向上は測りしれない。学級での読書の時間を設け、私自身が楽しんで読書する姿を見せ、生徒に読書に興味を持たせ本に親しませた結果、作文の質までも向上した。
世代を問わず世に知られた名文や詩を、リズムや抑揚や間を工夫して私が読むことで、表現の仕方次第で同じ文章でも印象が大きく変わることを理解させることができる。
英語だけで言葉を説明するペアワークを行わせた。「てんとう虫」を英語で説明させると、「インセクト」「スモール」と一単語を並べるだけでなく、「セブンマークオンザバック」など、一連の語を考え、説明するようになり、表現が豊かになった。
教採の論文問題が「思いやりの育成」だったときの本論における「例」
思いやりの心を育てるには、助けの必要な老人や幼児と接する場合の具体例を示し、自分には何ができ、どのように行動するかを考えさせ、話し合わせることがその第一歩となる。
「エスカレーターでは歩かない」というような時代によって正しいことが変わることについて、ロールプレイングを用いて生徒に賛否を論じさせる。さらに、エスカレーターではどのようにすべきかを話し合わせたことで、生徒は他者への気配りや思いやりについてより深く考えるようになった。
よい人間関係を築き継続させるには、相手のためを思って耳の痛い指摘をすることも必要である。「ダメなことはダメと言ってくれるのは本当の友達」と生徒に伝えると、生徒間で互いを高め合う行動が増えた
総括
論文の問題がどうであれ、上記の例はやや手を加えることで、さまざまな出題に適応できる内容です。他の課題でぜひ試してみてください。上記以外の例に関しては、過去の論文の解答例の中から探してみてください。
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