記事概要 公立の小中学校に携わる職員を評価する際の、基準やバロメーターについて解説していきます。今回は、教育委員会の視点から、校長の資質及び評価基準について書いていきます。近年、管理職の長時間労働が問題視されているがゆえに、管理職のなり手不足が深刻化してきています。
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区市町村教育委員会の基本方針や重点施策を推進しているか。
東京都の公立小中学校は、ほとんどが区市町村立です。ゆえに区市町村の公立学校は、区市町村教育委員会ごとの教育方針などに沿って、カリキュラムを作成しています。各教育委員会の重点施策には、コミュニティスクール構想やGIGAスクール構想、多様性を尊重する指導、SDGs教育への取り組みなどがあります。これら以外にも、区市町村固有の目標があるかもしれませんが、いずれにしても、区市町村教育委員会の基本方針や重点施策を積極的に推進しているかは重要です。教育委員会が示す基本方針を理解せず、学校経営方針を決めているような校長は、カスみたいな校長でしょう。
もし機会があれば、校長にカマをかけてみましょう。「我が校の学校経営方針に~とありますけど、これって教育委員会の基本方針のどの主要政策を取り入れてできたものなんですか?」のように質問して、そもそも校長が基本方針について触れてこないようであれば、区市町村教育委員会の基本方針や重点施策を知らない可能性が高いということです。
校長の職務である「4管理2監督」が適切に行われているか。
※「4管理2監督」とは、学校教育の管理・教職員及び児童生徒の管理・学校施設の管理・学校事務の管理と、教職員の職務上の監督と身分上の監督のことです。
校長の仕事の根源とも言うべき内容です。教育課程の管理とは、教育委員会に提出した教育課程が計画どおりに実施されているかを管理することです。学校施設の管理とは、校内に破損や危険な箇所が無いか、夏休み中にプールの水が抜かれていないか、校庭開放の際にトラブルが起きなかったかなどを管理することです。要するに、大きな事故が起きうる状態になっていないかを、校長がきちんと把握するということです。
これに関しても、カマをかけてみましょう。校長の職に就いている人間であれば、知らないでは済まされない言葉です。
学校選択制が導入されている場合、毎年の児童・生徒数が安定しているか。
学校選択制が採用されている地区では、学校の人気の度合いによって、児童生徒数に差が出てきます。学級数の増減は校長の評価に直結すると言っても過言ではないでしょう。トップダウン式の学校という環境では、校長の有能さは教職員に大きく影響します。基本的に、生徒数が減ることはトラブルの元ですので、学級数の減っている学校の校長は、教育委員会からあまり評価されていないでしょう。
保護者や地域から信頼されているか。また、トラブルを起こしていないか。
「4管理2監督」にも関係してくることですが、公立学校は地域の学校です。学区域には保護者は当然のこと、卒業生が多く居住しています。したがって、「おらが学校」の校長が、保護者や地域から信頼・承認されているか否かは、校長を評価する重要な要素です。
保護者や地域から信頼・承認されるには、育てようとする児童・生徒像、学校像を明確に打ち出すことです。挨拶を徹底させるでも、基礎学力を養うでも、思いやりの心を育むでも、もの対象は何でもよいでしょう。要は、校長としての考えとその必要性を、児童・生徒、保護者、地域の人々、そして、教職員に繰り返し話して聞かせ、実践することです。相手を納得させることができれば、校長の思いは徐々に達成されることでしょう。
児童・生徒の顔や名前は正確に覚えます。また、児童・生徒に関する情報は、提出された調査票などで徹底的に記憶し、機会を見ては話しかけ、情報量を増やしていきます。
学校の最寄り駅からの通勤途中、行き交う人は保護者や卒業生や地域の顔役かもしれません。『自分を見ているな』と感じたら、浅く一礼することが大切です。来客を快く迎え、相談や依頼であればできる範囲で対応します。来客が校門を出るまで見送ることは、相手に好印象を与えるものです。
物品の拝借や、児童・生徒の謝罪に同行するなど、小さな行いの積み重ねが、結果として保護者や地域からの信頼・承認につながるものです。
保護者や地域の人間からのクレームはともかく、地元民が校長を褒めているということは、教育委員会は大いにプラスにとらえます。地域の人から評価されている校長は、教育委員会からも評価されている校長でしょう。
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