教育管理職選考(試験) 論文1 東京都 

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記事概要 東京都の教育管理職選考(試験)、つまり副校長や教頭になるための試験の論文問題の解答例を紹介していきます。

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問題

 人々を取り巻く環境が目覚ましい情報化の進展の中にあります。
 このことについて、100字以内で課題を設定し、その課題について教頭としてどのように考えるかを2000字程度で述べなさい。

課題

 パソコンの普及、インターネット網の整備など、情報化の進展は著しい。21世紀に生きる子どもたちに、情報化社会の中で生きて働く資質や能力を身に付けさせることが学校教育の課題である。

解答例

 「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」。孫氏の兵法の一節であるが、情報を正しく収集・分析・活用という古の考えは、現代社会にも通用する。

 私の朝は NHK のニュースと新聞の朝刊とで始まる。一日の活動にプラスに働く情報を収集するためである。ある学者の調査では、現代の日本人が各種のメディアから一日に受ける情報の総量は、江戸時代に生きた人々の一年分に相当するという。情報の供給は飽和状態にある。

 しかし、情報化の勢いは、とどまることを知らない。一般家庭でのテレビ普及率は年々上昇し、インターネットも身近なものになりつつある。テレビ放送も本格的な多チャンネル時代に移行しつつあり、将来的には100チャンネルを越す情報供給源となる。

  こうした「情報の洪水」とも呼べる時代に生きる子どもたちには、今以上に情報を正しく分析・活用する資質や能力が必要となる。さもなければ、情報を鵜呑みにし、情報に左右され判断力や主体性が失われるという危険がある。

 私は教頭として、以下の2点を中心に、情報化の著しい社会に生きる子どもたちの教育に心血を注いでいく。

1、生徒が、正しく判断し、主体的に行動する能力を育てる教育を推進する。

 子供はやがて大人になる。大人になれば、課題に対し、自分で考え、判断し、結論に従って行動できなければならない。そのためには、成長の過程において、「生きて働く力」を身につける必要がある。

 学校教育でも、授業や道徳、特別活動を通じて、子供達に「生きて働く力」を養う努力をしている。しかし実際には、受け身に徹するといった授業態度であったり、行事や委員会活動に率先して取り組めなかったりという生徒の実態がある。これでは、社会の情報化に対し、主体的に、能動的に対応することは難しい。

 私は今まで、「生徒一人一人が正しく判断し、主体的に行動すること」を目標に生徒指導にあたってきた。学校生活で、判断力や自主性、行動力や主体性を養いたかったからである。学級指導では、「一年間のどこで主役になるか」「自分の出番はどこか」を訴えかけ、行事ごとに適材適所を心がけた。教科指導では、基礎基本の定着に努め、挙手を促し、分かる喜び、発表する楽しさを実感させてきた。部活動では、試合の勝ち負けより、状況を正確に読み取り、試合展開(課題)を主体的に行うよう指導してきた。 

 しかし、これらの実践は、学校を挙げてのものには至っていない。現任校の学校長は、「子供達に生きて働く力を養うことが大切だ」と常々語っている。私はこの教えに学び、教頭として、子供の正しい判断力、主体的な行動力を養う学校教育に尽力する。具体的には、➀「新しい学校観」に基づく授業の徹底を全職員に指導する。②委員会活動、部活動など、異年齢集団による活動を盛んにする。

③生徒が中心となって活動する学校行事を工夫する。

2、「身近な情報基地」としての、学校の環境整備を推進する。

 学校は、「地域の情報基地」と呼べる存在である。屋上のスピーカーからは、区の公共放送が流されたり、子供を通じて文書や広報紙が配布されたりする。構内には、図書館や放送室、コンピューター室などが設置され、子供達は情報の収集や活動だけでなく、情報機器の操作を学ぶこともできる。

 しかし、これらの整備状況や利用状況は満足のいくものではない。図書室の書籍は、年度の古いものが多く、蔵書数も多くはない。コンピューターの指導も、限られた教師のみが担当し、情報処理の時間だけ利用されている。

 また、コンピューターに指一本触れないようとする教師もいる。これでは、情報化社会に生きる子どもたちの資質や能力を高めることは難しい。

 私の尊敬する学校長は、「学校は生徒のためにある」が口癖であった。私はこの言葉には学び、子供たちの資質や能力を高めることに邁進する。具体的には、①図書室の整備を進め、土曜休業日などに親子が学べる場所にする。②情報機器に関する校内研修を充実させ、教職員の資質能力の向上を図る。③地域の人材の協力の下、コンピューターに関する講座を開設するなど、学校を「地域の情報基地」とする。

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