記事の概要 退潮著しいと言われる、公立高校の具体的な復活策として、調査書(内申書・報告書)不要の入学試験を提言します。
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公立高校の復活策 3 調査書(内申書・報告書)不要の入学試験
調査書(内申書・報告書)とは、高校や大学からの求めに応じ、中学校長や高校長が作成する人物・成績証明書です。そして、調査書に記載された評価や評定をさまざまに計算した結果を、調査書点あるいは内申点などと呼びます。
最近は聞くことが珍しくなった、「内申書に響く」や「内申書が悪くなる」という俗説。これらの言葉は、中学3年間の欠席・遅刻の日数や生活指導上の記録が、高校受験(受検)の合否を左右することを言い表したものです。けれど、入学試験の合否判定に欠席日数や非行歴が使われることは全くありません。そもそも公立高校用の調査書には、非行歴の記載を求められることもなければ、記入する欄もありません。また、昨今は調査書の簡略化が進み、東京都であれば、教科の観点別ABC評価や5段階評定を記入するのがせいぜいです。
調査書の存在理由
ではなぜ調査書が入学試験の判定に用いられるかといえば、試験当日の筆記試験の得点(結果)だけで、合格・不合格とすることを避けるためです。つまり、中学校の3年間または中学3年次の努力を加味し、筆記テストの結果と総合して合否を判定しようということです。また、体調不良や極度の緊張から、筆記試験で本来の実力を発揮できない生徒への救済策という意味もありました。
けれど、教科の「5」という評定は、地域や学校間の学力格差を考えると、その価値は異なる、入試の合否判定に単純に用いるのは不公平だという意見が昔からありました。以前の都立高校入試では、学力検査の結果と調査書点とは、1:1、つまり、同等とされていました。
さて、中学校での評価方法が、相対評価から絶対評価に変わったことで、評定の「インフレーション」が発生し、「5」や「4」という上位の評定が珍しくなくなりました。たとえば、都立日比谷高校の推薦入試を希望するほとんどの生徒の調査書は、「オール5」です。
近年の調査書の扱いと今後
大学入試対策からか、都立高校入試は得点力を重視するようになりました。具体的には、入試得点と調査書点とを各校の判断で最大7:3とすることが認められ、成績上位校はこぞって7:3を選択しています。大阪市などでは、9:1まで緩和されています。つまり、たとえ「一発勝負」となろうとも、得点力の高い生徒を多く集めたいということです。
調査書に依らない入試を行うことが、公立高校の復活、難関大学への合格者の増加につながる可能性があります。その場合、詰め込み教育や進学塾通いが過熱するかもしれません。また、試験教科以外の教科を軽視することになるかもしれません。いっそのこと、9教科900点満点の試験としてもいいかもしれませんが、誰もが納得するには難しい問題です。
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