記事概要 東京都の公立小中学校教員の人事異動の際に行われる場合がある、「区市町村教育委員会による人事異動対象教員の囲い込み」について説明します。なお、この記事は「東京都の公立小中学校教員の人事異動」に焦点を当てたものです。
区市町村教育委員会による人事異動対象教員の囲い込みとは
教員の「囲い込み」とは、「他の区市町村に異動させたくない教員を、本人の意向に反してでも内部留保する」ことです。校長や区市町村教育委員会が(この教員は優秀だから、他の区市町村に異動させるのはもったいない)と思ったときに、他の区市町村に異動はさせずに、自区市町村に留め置くことを「囲い込み」と言います。
東京都の公立学校教員の異動の前提
公立学校の小中高校教員には、人事異動がつきものです。その中でも、「東京都」の公立小中学校教員は、「最初の3回までの人事異動の際には、必ず他の地区(区市町村)に異動する」という人事異動のルールがあります。
一般的な例を挙げれば、
1 江戸川区立小岩第二中学校(在籍1校目) 6年間在籍
2 板橋区立赤塚第一中学校(在籍2校目) 6年在籍
3 葛飾区青葉中学校(在籍3校目) 8年在籍
というように、異なる3地区を経験するまでは、在籍していた区市町村以外の地域の学校に異動することになります。東京都の公立学校教員はこのように、3回目の人事異動までは必ず他の区市町村の学校に異動するという絶対的なルールがあります(高校の教員は、また別の話です)。
人事異動の際の地区分けに関してはこちら
4校目の学校決定の際の「囲い込み」
では、3地区を経験した教員の、4校目の学校はどのように決定するのでしょうか。ここでもう一度、人事異動の際の教育委員会の動きを確認してください。
囲い込みの詳細
人事異動の流れとしてはまず、区市町村教育委員会が区市町村内の異動対象の教員リストを作成し、そのリストを東京都教育委員会に提出します。ここで、公立小中学校教員の「囲い込み」が行われます。他区市町村に異動させたくない教員の情報を、東京都教育委員会に提出しないのです。東京都教育委員会は、区市町村教育委員会の提出する教員リストをもとに人事異動を決定するので、情報を提出されていない教員に関与することはできません。教員の情報を提出しないことにより、区市町村教育委員会は、留保したい教員を確保することができます。
しかし「教員の囲い込み」と言えど、これができるのは4回目の人事異動対象の教員のみです。ゆえに若手の教員には「教員の囲い込み」は何ら関係のない話です。ある程度の中堅教員であり、区市町村教育委員会から必要とされている、校長が他地域に出したくないと思っている教員のみに、「教員の囲い込み」は発生するのです。
東京都の公立学校教員が一校に7年以上在籍する場合(例)はこちら
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