記事概要 令和5年度東京都公立学校教員採用候補者選考(6年度採用)では、選考方法の見直しが行われました。教員採用試験受験者へのこれによる影響、学校現場への影響、見直しが行われた背景などについて考察を述べていきます。今回は「大学3年生等の前倒しと教職教養・専門教養の扱い」についてです。
参考資料はこちら
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/staff/recruit/guide/files/teacher_employment_r5/minaosi.r5.pdf
教員採用試験の見直しによる改正点(詳細)
大学3年生等の前倒し
- 選考への応募を大学3年生等に前倒しして、一次選考の教職教養と専門教養を大学3年で受験できるようになります。
- 3年次の選考で一定以上の点数を取った受験者を、「選考通過者」とします。
- 選考通過者は、翌年度に論文選考を受験し、その合格者について二次選考を実施します。
軽んじられる教職教養試験と専門教養試験
2023年時点での大学3年生から、東京都の公立学校教員になるための教職教養試験と専門教養試験を、大学卒業までに2回受験することができるようになりました。このような制度が施行される背景には、採用選考に向けての勉強や教育実習など、多くの準備が求められる4年生の負担を軽減するという目的があります。
さて、人間は忘れる生き物です。大学3年生時に必死に勉強して、専門教養と教養試験に合格したところで、1年後に同じ内容を覚えている人間がどれほどいるでしょうか。けれど、教員を続ける限り、知識のアップデートは不可欠です。歩みを止めれば、能力はこれ以上上がっていきません。教員採用試験に合格しても、専門教養の勉強も絶えず続けていくしかないのです。にもかかわらず、大学3年時に専門教養の試験の受験を可能にさせると、結果として能力の低い人材が採用されることにつながるのではないでしょうか。
論文は一発勝負
なお、論文試験に関しては、受験制度の仕組みに変更はありませんでした。ゆえに、論文試験は引き続き一発勝負となり、教員採用試験突破の上で重要性が増していくでしょう。
東京都の教員採用試験・1次試験不合格者の多くは、「論文試験の結果が悪いことで、1次試験に合格できない」ということです。なぜなら、付け焼刃的なテクニックを身に着けたりしたところで、論文試験の合格点にたどり着くことはできないからです。
合格点の論文を書くこと、文章作成の能力を身に着けるには、日々の国語力の積み重ねが必須です。「第3者の誰が読んでも理解できるような文章を書く」というのは、非常に難しいものです。東京都の教員採用試験で論文試験の重要性が高まっている中、たとえ専門教養や教職教養で素晴らしい成績を残す実力があっても、1次試験を通過できない受験生が一定数出てくると、私Garudaは推測します。
教員採用試験の論文を書くことができない人が一定数いる理由についてはこちら
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