民族問題のガイドブック 『民族の世界地図』 【学校においてほしい本】

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『民族の世界地図』 

著 21世紀研究会編 文春新書

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始めに 

「新書」と聞くと、「おもしろくない」「内容が専門的で、理解に時間がかかる」と思われがちですが、本書『民族の世界地図』も決して読んでおもしろい本ではありません。けれど、「それと気づかぬうちに国際化が進み……」などと訳知り顔で語るわけではなく、東京の田舎で暮らす私の周囲でも、ベトナム人を始めとして、ネパール人やイラン人がごく自然に暮らす時代になりました。

 というように、外国人との共存・共生が別段不思議なことではなくなり、さらなる交流が予想される今、私たちは改めて広く世界に目を向けるべきではないでしょうか。『民族の世界地図』は、地図でも地図帳でもありませんが、学校では学ぶことの稀な民族や民族問題について、「なるほど」「そうだったのか」と読んで納得させられることの多い良書です。

概要 

 21世紀研究会は、9人の研究者によって設立された研究会ですが、文春新書としては『民族の世界地図』に続けて『地名の世界地図』『人名の世界地図』等を書き下ろし、『民族の世界地図』では新編も世に送り出しています。平成12年に第一刷が発行されています(新編の発行は平成18年)が、記述された内容に古めかしさや違和感を抱くことはありません。総ページ数は約300。定価は750円。

 第一章が「民族のアイデンティティー」で、全八章の構成ですが、興味のある部分から読み進めることができます。「民族」という語義のあいまいさを説明しながらも、民族と言語や宗教との関係を、適切で簡潔に解き明かしています。

良さ 

 第一は、記載内容の有用性に比して定価の安いこと。一般に、定価の1割が著者の取り分になると言われますが、さして売れることのない新書本からの上がりを9人で分けることを考えると、執筆の労に対して気の毒な気分になります。と言いながらも、東京神田の古書店街や大型の古書店を覗き、新品の状態にある掘り出し物を安価で購入したりしますが、『世界地図』シリーズもそうして手に入れました。

 第二に、新たな知識が増えることで、話のネタが豊かになります。結果として、周囲からは「物知り」と思われたり、クイズ番組を見て自己満足に浸れたりすることも、新書から得られる「良さ」でしょう。

まとめ

 
 「知識」を主題とするジクソーパズルのような書籍です。頭の中でさまざまなピースを的確にはめ込み、「民族の世界地図」を完成させることで、確かな満足感を味わうことができます。

 ちなみに、mapは一枚の地図で、冊子の体裁のものはatlasです。
結末さえ分かれば満足という人は別として、一般に小説は、登場人物の言動や話の展開を楽しみながら読み進めるものです。

 けれど、虚構とはいえ、それに近い現実が我が国にあったことを、「知らなかった」で済ませてよいものでしょうか。また、困難や苦難に臨み、自分は如何に生きるかについて考えるには最適な書の一冊と考えます。

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