図解 コンサル一年目が学ぶこと
著 大石哲之 ディスカヴァー・トゥエンティワン
概要
社会人としてのベーシックスキルを詰め込んだ『コンサル一年目が学ぶこと』が図解を加えてさらに理解しやすくなったものが、本書です。外資系のコンサルティング会社で、社会人1年目はどんな指導を受けるのか、なぜコンサルティング会社で仕事をしていた人はどんな哲学をもって働くようになるのかを綿密に説明しています。
仕事の本質を学ぶことができる作品です。
役に立ちそうな箇所(本書引用)
PREPは、Point(結論)/Reason(理由づけ)/Example(具体例)/Point(結論の繰り返し)の頭文字を並べたもので、話をする際の「型」です。「型」なので、意識してやってみる必要があります。 そのためには、ふだん話すときも、思いついたことから喋るというクセをなくすことです。 一度、PREPの型を思い出して頭の中を整理する。そして結論から話す のです。
会議の最後で何が決まっていればOKなのか。そのテーマこそが、会議のアジェンダです。
言いにくいことでも、間違っているなら間違っていると言う。上司や偉い人が言っていることでも、疑ってかかる。もしそれがおかしいことであれば、ちゃんと指摘する。その方向に進んだら、きっとうまくいかない。そういう場合は、非常に言いにくくても指摘しておかないと、あとで「どうしてわかっていたのに指摘しなかったんだ」と言われます。
わかっているのに言わないというのは、個人の感情の関係では好ましい場合もありますが、仕事においては、逆に不誠実ととらえられることのほうが多いのです。
「ビジネスというのは、突き詰めると、相手の期待値を、常に超え続けていくことにほかならない。顧客や消費者の期待値を超え続けていくこと。上司の期待値を超え続けていくこと」
求められていないことに時間を使っても、クライアントからも上司からも評価はされないのです。
議事録とは、その会議で決まったことを書くもの。それが原則です。非常に極端なことを言えば、 途中の経過などは必要なく、その会議で何が決まったかを書く。
議事録で必ず盛り込むべき項目を挙げましょう。 「日時」「場所」「参加者」「本日のアジェンダ(論点・議題)」以上は当たり前ですね。
課題管理表とは エクセルに、プロジェクト進行上の課題をリストアップして関係者が進捗や状況を確認し合う表のこと です。
記述のコツは、 曖昧な部分を残さない こと。これが大事です。ここが曖昧だと、結局、翌週になっても課題は解決されないままでしょう。
若いうちは、どのような仕事をするかより、誰と仕事をするかのほうが大事です。ですから、仕事選びよりも、いっしょに仕事をする人選びを大事にしてください。
リーダーの提案を汲んで、リーダーがほしいと思っていること、リーダーが必要としていることを考えて、自主的に動く。
公立学校の場でどの程度生かせるか
正直に言って、公立学校に勤務する教員やこれから公立学校で勤務することになる人がこの本に書かれていることを実践することは、半分以上不可能です。「間違っているなら間違っていると言う。」という考え方は素晴らしいですが、公立学校でそれを職員会議などでし続ければ、いくら時間があってもきりがありません。初任の教員が正論を言おうが、聞く耳をもつ人間は誰一人としていません。本音と建て前によって、正論はもみ消される世界です。あきらめて泣き寝入りするしかないことばかりで、頭が固いといってしまえばそれでおしまいです。
もし公立学校の教員が本書の内容を粘り強く遂行し、職場の人間に対してもコンサル的思考が普及するような価値観のアップデートを成し遂げたとしましょう。公立学校の教員は人事異動から逃げることはできません。せっかく勤務地で、「コンサル業界での常識を根付かせることができた!」としても、基本的には6年前後でその職場を去ることに去ることになります。新しい職場の人間の思想統制を、再度行う必要が出てきます。本書の内容には極めて正当な主張を述べていますが、公立学校教員にとってはすべての内容の再現性があるとは思えないでしょう。
しかしながらこれらを差し引ても、社会人が読む本としての価値は十分にあります。
コメント