記事概要 現状、学校教育には様々な課題があります。例えば、教員の労働時間はなかなか短くなっていません。今回は、部活動を地域移行化することで、教員の仕事の負担を減らそうという動きがあるのに、教員の中に部活動地域移行に反対する人が一定数いる理由について解説していきます。
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教員にとっての部活動
部活動に対する考えは、教員それぞれです。部活動を指導したくてたまらない教員、仕事だから仕方なく部活動の顧問をしている教員、部活動の顧問を辞めたくてたまらない教員、教員の仕事ではないから部活動の顧問にならない教員など。本音と建て前はあるにせよ、部活動に対して様々な考えを教員は持っています。
普通に考えれば、「給料は下がらず、仕事は減り、労働時間が短くなる」ことを拒否する人はまずいないでしょう。これを否定する人を世間は「社畜」と呼ぶのではないでしょうか。中学校および高校教員の中には、「給料は下がらず、部活動(仕事)から解放され、労働時間が短くなる」ことを拒否する人種が、一定数存在します。なぜでしょうか。
部活動指導が生きがいになっている教員
中学校及び高校の教員の中には、部活動の指導が生きがいになっている教員が一定数います。こういった教員にとっては、部活動を離れ、労働時間を減らすより、労働時間が長くても部活動をするほうがマシなのです。労働時間よりも部活動に比重を置く教員は、部活動の外部委託に賛成しません。反対しています。教員の働き方改革を推進しようとも、内部に反対者がいるわけです。したがって、つぎのようなアンケート結果が出るわけです。
https://www.gib-life.co.jp/st/about/is_pdf/20220808.pdf
教員採用試験でも、部活動を指導したい教員が採用される
教員の労働時間が長くなろうが、教員が長時間部活動で子どもを指導してくれることに感謝している保護者は多くいます。東京都の公立学校教員の給与ですが、平日に何時間部活動を指導しようとも、手当は0円です。かつてはほぼ無給だった休日の部活動指導は、今日は、4時間を超える指導に4000円程度の手当が出ます。正確な数字は知りませんが、東京都の最低賃金程度の手当でしょう。
部活動地域移行のために指導者を募る際、「平日の指導は0円です」という文言では、指導者は集まらないでしょう。これでは指導というより、ただのボランティアです。指導者の技量が高ければ高いほど、低賃金では指導者を務めてはくれないでしょう。
となると、現行のまま教員が部活動を指導してれば、平日の人件費はかからないわけです。教員が無給で部活動を指導する、教員が低賃金で部活動を指導してくれるのであれば、基本的には部活動の顧問を担当しない管理職や保護者含めその他の大人は、教員に部活動の指導をしてほしいのです。
ゆえに、「部活動を指導したい」「部活動を指導する意志がある」と答える受験生のほうが、教員採用試験に受かりやすい傾向があります。上記のURLで、部活動を指導したいという教員が一定数出てくるのは、「部活動の指導をしたい」とする教員志望者のほうが、教員採用試験をとおりやすいからです。
教員採用試験の面接官に関してはこちら
総括
結局、校長や文部科学省は、文句を言わずに働く奴隷が欲しいのです。これからの時代、教員の働き方改革を行い、中学校・高校教員の労働時間を短くしたいのなら、「部活動を指導したい」と強く主張する人物は、教員として採用すべきではないのです。
数十年後に、部活動を完全地域移行化させるには、教員採用試験で「部活動をやりたい」なんて言う受験生を全て落とすくらいしないと、部活動の地域移行を反対する教員はいなくならないでしょう。
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