ブラック企業、ブラック労働今昔 『太陽のない街』 【学校においてほしい本】

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『太陽のない街』 徳永 直

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始めに 

 「プロレタリア文学」というジャンルをご存知でしょうか。資本家と労働者という対極において、いかなる不条理があるか、あるいは、あったかを描いた文学作品の総称です。『蟹工船』についての書評をとも考えましたが、あまりにも有名なので『太陽のない街』を取り上げることにしました。こちらも映画化、そして、舞台化された著名な小説ですが、読み進めると、『太陽のない街』に暮らす人々が直面する困窮に憤りを感じずにはいられません。

概要 

 時は昭和初期。舞台は東京市小石川区。現在は「文の京(みやこ)」と称する文京区の一部ですが、その低湿地に形成された生活困窮地『太陽のない街』。住人の多くは、大企業の工場での長時間労働によってわずかな収入を得て、つましく生活しています。衣食住全てが不十分な工場労働者たちは、労働条件の改善を求めて、ひそかに争議団を結成します。一方でその活動への参加を危惧する家族。

 会社との交渉に進展はなく、争議団はついにストライキを決行します。経営者側はそれに対し、さまざまな妨害工作を仕掛けます。この闘争の結果は、どうぞご自分でお確かめください。

良さ 

 著者の実体験に基づく小説なだけに、社会の底辺で必死に生きる人々の、真に迫る描写が相次ぎます。豊かで平和な今を生きる私たちにとって、かつて我が国にも、いかに悲惨で困難な状況があったかを学ぶことのできる一冊です。結末に至り、弱者が強者に放つ一矢、復讐ともいえる手段に、やるせない思いをすることでしょう。

まとめ 

 読後感は良いものではないかもしれません。けれど、100年ほど昔のわが国には、いかんともしがたい理不尽な法や制度や体制があり、耐え難い労働や生活を強いられる人々も数多くいました。

 治安維持法、特別高等警察(略して「特高」)、拷問や虐待、長時間労働、若年労働、低賃金、スト破り等々。知らなくてもよいことかもしれませんが、我が国の(負の)歴史の一端を学ぼうという思いのある方には、お勧めの一冊です。

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