母 その高潔さ 『楢山節考(ならやまぶしこう)』 【学校においてほしい本】

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楢山節考

著者 深沢七郎

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始めに 

 「夏の100冊」だの「必読書100選」だの、読書の助け(?)となる情報を目にすることがあります。けれど、世に流通する膨大な書籍から「100冊」を選ぶこと自体、容易なことではないでしょうし、「古典から最新作まで」や「小説以外の書籍もバランスよく含める」等の要請や制約があれば、より難しい作業となることでしょう。仮に冊数を「1000冊」までに拡大しても、選択の難しさはあまり変わりませんでしょうし、また、「1000冊」もの図書を紹介されて、それらを読破しようとする人がどれだけいるかは不明です。と言いながらも、『楢山節考』はお勧めしたい一冊です。

概要

 「食物連鎖のピラミッド」を理科の授業で学んだことは覚えているでしょうか。「ピラミッド」の上位にいくほど、生物の生存数は少なくなることを表す図ですが、底辺によって上位者の生存数や率が左右されるとも言い換えることができます。

 さて、間もなく70歳となる「おりん」の住む山村は、生産され狩猟される食糧の増産が難しい、限られた人数しか暮らすことのできない寒村。そして、70歳となった高齢者は、「楢山まいり」に行くという習わしが村にはあります。

 習わしを必然と心得、計画的に「楢山まいり」への準備を進める「おりん」に対し、戸惑いやためらいばかりが募る長男の「辰平」。けれど、否応なしに時は進み、二人は村の古老からお山に行く掟やしきたりを伝えられます。

 深夜、「おりん」に促されてお山に向かう「辰平」。果たして二人は、「一切口をきいてはならぬ」という掟を守ることができたでしょうか。

良さ

 世界でも有数な清潔で豊かとされるわが国。バブル経済がはじけ、「失われた20年」という言葉で日本経済の停滞が語られはしますが、巷では歩道にまで物があふれ、デパートの食料品売り場やスーパーマーケットには、良質な食品が常に並べられています。けれど、第2次世界大戦前には、主食である白米を十分に食せなかったり、職を求めて海外に移民したりするという現実がありました。

 平和や豊かさにどっぷりとつかり、その有難さを忘れがちな私たちに、厳しい状況でいかに生きるべきかを考えさせる好著。

まとめ 

 読後は決して良くはなく、もの苦しい思いをする人もいるかもしれません。けれど、虚構とはいえ、それに近い現実が我が国にあったことを、「知らなかった」で済ませてよいものでしょうか。また、困難や苦難に臨み、自分は如何に生きるかについて考えるには最適な書の一冊と考えます。

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