「一服の清涼剤」を求めて 『風立ちぬ』 【学校においてほしい本】

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『風立ちぬ』 堀 辰雄

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始めに

 『風立ちぬ』から連想されるものを尋ねると、年代によりそのこたえは、次の3つに集約されることでしょう。1つは、昭和11年(1936年)に発表された堀 辰雄の小説。2つめは相和56年(1981年)に発売された松田 聖子の流行歌。そして、平成25年(2013年)に公開された宮崎 駿による長編アニメ映画。

 この場で取り上げるのは、言うまでもなく小説の『風立ちぬ』。さて、このタイトルの意味は、「風が吹いた」「風が吹かない」のどちらでしょうか。この書評を読んでくださる皆さんは、もちろんお分かりですよね。

概要 

 夏の終わりに出会った、小説家の「私」と油絵をたしなむ節子。二人は婚約に至りますが、当時は不治の病と恐れられた結核に、節子は罹患してしまいます。     

 医師の勧めで転地療養を選択した節子。その付き添いとして、「私」も高原のサナトリウムでの生活を始めます。美しい風景の中で、過ぎ行く時間や季節とともに生きる二人。静けさで満たされた文章からは、病と懸命に闘う節子の悲哀や苦痛は不思議とうかがえません。それだけに、読者は節子の容態や節子の最期に思いを馳せながらページをめくることになるでしょう。

良さ

 病気や病人を描いた小説にもかかわらず、きらきらと輝く美しさを感じさせる小説で、正に「珠玉の作品」と言えるでしょう。忙しい日々を送り、些細な出来事に一喜一憂しがちな私たちの心を落ち着かせてくれます。

まとめ 

 「結核」という語を目にしても、どこか遠くの世界の話のように思われます。けれど、結果を診断するツベルクリン注射や結核を予防するBCG接種は今なお実施されています。ストレプトマイシンという特効薬が実用化されるまでは、結核には運を天に任せるような治療法しかありませんでした。

 愛し合う二人が、与えられた時間をどのように過ごしたかを、自分であればどうしたかを考えながら読み進めてもよいでしょう。

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