上流階級に潜む闇 『華麗なる一族』 【学校においてほしい本】

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『華麗なる一族』 山崎 豊子

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始めに

 『華麗なる一族』を原作とする映画やテレビドラマがこれまでに何度か制作されたことは知っていましたが、今年2021年にもテレビドラマ化されたことには気づきませんでした。視聴した人の多い小説についての書評を書くことは、愚の骨頂かもしれませんが、文字に親しむ人が少しでも増えることを願っての書評としました。

概要

 ある関西財閥の頂点に位置する「万俵家」。現当主で、所有する都市銀行頭取にある「大介」は、「妻妾同衾」という私生活を送っています。大介の目標は、小が大を喰う銀行合併。その実現に向け、政官界を相手に大介はさまざまに画策します。

 大介の長男「鉄平」。正直で正義感が強く、大学での専攻を生かそうと、鉄鋼メーカーの専務を務め、会社と従業員のためと、リスクの高い高炉の建設を進めます。

 鉄平の出生に疑念を抱く大介と、父に愛されていないことを知る鉄平。『華麗なる一族』には、表面上は華麗であっても、内面は非情とも醜悪ともいえる人間関係が描かれます。また、我が国の政界と官界と経済界がどのように離合・集散するかを明らかにする小説です。

良さ

 現在の人気作家の文章力は高く、出版される小説はどれも場面展開が巧みで、ついつい先を知りたくなります。また、登場人物も魅力的で、その言動に一喜一憂させられることもあります。ただし、会話が多用されたり、不要な解説や説明が添えられたりする作品には閉口しますが。

 さて、山崎豊子さんの文章は、写実そのものです。取り上げられる家具や調度品に関しても、「これでどうだ」とばかり、微細に表現されます。山崎さんが紡ぐ言葉で、その対象を思い浮かべられることが、『華麗なる一族』を読むことの良さであり楽しさです。

まとめ

 「一億総中流階級」と日本人が呼ばれた(持ち上げられた?)時代がありました。

 当時から下流階級の一員と自認する書評司からすると、全国民の5%とされる上流階級の日常生活は想像も出来ませんが、『華麗なる一族』は、上流階級にあこがれる方々や、あと一歩で上流階級というご家庭にとっての必読書と言えるでしょう。

 たとえフィクションではあれ、新年の祝いはフランス料理で、食事中はフランス語しか許されないとなると、「自分は下流階級であるのは当然」と納得するばかりですが、映画やドラマではなく、このコロナ禍に上・中・下からなる長編小説に挑んでみてはいかがでしょうか。

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