『伊豆の踊子』 「名物にうまいものなし、名作に……」 【学校においてほしい本】

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『伊豆の踊子』 川端 康成  副題「名物にうまいものなし、名作に……」

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始めに

 日本人初のノーベル文学賞受賞作家、川端康成の代表作として名高い『伊豆の踊子』。人気の俳優を起用した映画化は、これまでに何度もされていますので、書名は知っていますという方も多いことでしょう。ちなみに私Garudaは、本を読んだだけですが。

 さて、「私小説(わたくししょうせつ・ししょうせつ)」という言葉があります。私(らしき人物)が主人公で、その実体験らしき内容を記した、我が国の小説の典型を言い表す語ですが、「私小説」を低く評価する考えがあります。『伊豆の踊子』は私小説そのものですが、この本を手にする皆さんの評価はいかがでしょうか。

概要 

 時代は大正末期。「一高(いちこう・第一高等学校。旧制の高等学校(旧制高校)は、現在の大学に相当する学校ですが、卒業生の大多数が帝国大学に進むという『エリート養成学校』)」に通う主人公の「私」は、鬱屈した思いを払うために一人旅に出ます。行き先は伊豆半島。

 現在であれば、電車や車での快適な旅を楽しむことができるでしょうが、当時の主な移動方法は徒歩。小説の場面は天城峠の手前から始まりますが、そこから下田までの山中を登場人物は歩き通します。ふと目にした旅芸人の一行を追うように一人旅する二十歳の「私」。偶然ではなく、意図して計画的した「私」は、天城峠の茶屋で一行に追いつき、雨宿りします。そして、天城隧道(すいどう・トンネル)を越えるころには、自然と言葉を交わす仲になります。

 その後の湯ケ野温泉を経て下田港で別れるまでの「私」の葛藤が描かれた小説です。

良さ 

 今では死語となった、「プラトニックラブ」に至る、若い男女の淡い恋心を読み取ることができる小説です。また、制帽や高下駄という旧制高校生のいでたちを知り、旅芸人に対する一般人の見方や思いを読み取ることができます。加えて、書評家諸氏の言う、純粋で簡潔な名文にふれ、それを読み味わうことができます。
   

まとめ

 「十年一昔」といわれますが、大正15年(1926年)に発表された『伊豆の踊子』は「十昔前の小説」かもしれません。したがって、旧制高校やそこで学ばせることのできる家庭の実態や、旅芸人というだけで、風紀や風俗を乱すと蔑視される実際を知らずして、『伊豆の踊子』の本質に迫ることは難しいことかもしれません。けれど、時に、そのような小説に、ノーベル文学賞作家の作品に手を伸ばしてみてもよいでしょう。

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