教育実習先決定までの学校と教育委員会の動き 【教育実習制度の実態】

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記事概要 学生が東京都の公立小中学校で教育実習を行うまでに、学生の所属する大学・東京都教育委員会・区市町村教育委員会、実習校(先)がどのような動きをしているかを解説します。今回の記事は、東京都の例です。その他の道府県及び地方自治体の事務手続きについては、まったく知らないのでご注意ください。
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公立小中学校で教育実習を行うまでの教育委員会や学校のおおまかな動き

1 東京に本部のある大学が、大学3年生で都内の公立小中学校での教育実習を希望する学生の一覧を、東京都教育委員会に送る
2 東京都教育委員会が、市区町村の教育委員会に、翌年度に都内の公立小中学校で教育実習を希望する学生の一覧を送る
3 各小中学校が、どの大学生を教育実習生として引き受けるかを決め、市区町村の教育委員会に報告する。
主な流れは以上です。詳細を見ていきましょう。

教育実習先が決まるまでの教育委員会と学校の動きの詳細

大学・東京都教育委員会・区市町村教育委員会・公立学校などの動き

 東京都の教育委員会は、学生からの教育実習の個別申請は受け付けていません。そこで、都内の公立幼稚園、小学校、中学校、高等学校で教育実習を希望する学生は、自分の大学で申し込みの手続きをします。この際に学生は、東京都内のどこの区市町村で教育実習を行いたいかを表明することができます。

 大学は、学生が大学3年の2~3月、教育実習を希望する学生数や希望する免許(教科)の種別を東京都の教育委員会に報告します。都の教育委員会は全ての希望を集約し、申請のあった大学名、学生数、教科等を、区市町村の教育委員会に、新年度が始まる前に示します。区市町村の教育委員会は、管轄する(簡単に言えば区市町村内の)幼稚園、小学校、中学校に教育実習生の受け入れを依頼しますが、これはあくまで「お願い」です。強制ではありません。ゆえに区市町村教育委員会が、管轄する学校に「教育実習生を受け入れてください」と要請しようとも、学校側が「残念ながらできません」という要請を断ることもできるわけです。

教育実習生への実習先決定の通知

 受け入れが決定すると、学生には逆の流れで、つまり大学のほうから、学生に教育実習先が知らされます。しかし、実習先がなかなか決まらない場合があります。なぜなら学校は、教育実習生の受け入れをしなくてもよいからです。となると最悪の場合、いつになっても教育実習を行うことができない学生が誕生してしまいます。

 こういった問題が起こりかねないため、あらかじめ大学2~3年生次に、教育実習先を学生自ら探させる大学もあります。そうした場合、学生が頼りにするのは、学生の出身校です。ゆえに、学生がいずれかの学校から「教育実習生として、受け入れます」という内諾をもらうことは、非常に重要なのです。
内諾など、教育実習を実施するまでのスケジュールはこちら

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教育実習の受け入れ先が見つからない問題

 しかし、学生の母校が統廃合されたり、災害などで消滅していたりすることもあります。また、高卒認定試験の受験者などの母校の無い学生では、教育実習先のアテやツテがない場合もあります。海外にある日本人学校を卒業した学生にとって、母校で教育実習を行うことはあまり現実的な話ではありません。

 さらに、教育実習生を指導できる教員がいない、つまり、非常勤講師しかいない、学校側が実習生を受け入れる状況にないという理由で、受け入れを拒否されることもあります。たとえ母校であっても、一度に多数の教育実習生を受け入れると学校側も困るという理由で、教育実習の受け入れをしない場合もあります。このように、様々な理由により、学生の唯一のツテである母校で教育実習を行うことができない学生が発生しているのです。

 近年は、個人情報の管理の問題から、卒業生が母校で教育実習を行うことはよくないという主張もあります。わからなくもない言い分ですが、卒業生を教育実習生として受け入れることを拒否することは、未来ある教員の芽をつぶしていると言っても、過言ではないのではないでしょうか。
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母校が卒業した教育実習生の受け入れを断る理由 【教育実習制度の実態】 | 元公立学校教員のぶっちゃけ
記事概要 私Garudaが、母校で教育実習を行うことを断られたときの詳細を、教育実習の実態と照らし合わせながら説明します。 教育実習を拒否されたときの話はこちら

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