記事概要 現状の学校教育には、様々な課題があります。たとえば、教員の労働時間はなかなか短くなりません。中学校や高校において、教員の長時間労働の原因の一つは部活動です。これからの教員の働き方を考えるうえで、部活動をどうすべきかについて解説していきます。今回はまず、部活動の定義から見直していきます。
部活動とは
文部科学省によると、部活動は生徒の自主的、自発的な参加により行われるものであり、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、学習指導要領に位置付けられた活動である、とされています。しかし、部活動の設置・運営は、法令上の義務として求められるものではなく、必ずしも教師が担う必要のない業務と位置付けられています。
理想と現実
文部科学省は、部活動を「必ずしも教師が担う必要のない業務」と位置付けていますが、実際のところ、部活動を担当していない教員はほとんどいないのが現実です。事実、地域によっては、教員はなにがしかの部活動の顧問を担当するということを義務化している地域もあります。
文部科学省が出している、「令和4年度 学校の働き方改革に関する調査結果」と「令和3年度 部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」の資料を参考にします。これらの調査結果によると、2022年度における部活動の顧問教員の配置状況は、公立中学校で91.1%、公立高校で97.1%が「全教員が顧問にあたることを原則とし、複数名の顧問を配置」、または「全教員が顧問にあたり、人数は部員数などに応じて配置」と回答しています。
部活動は教員が担う必要がないと明記されていながらも、少なくとも公立中学・高等学校の教員の9割は、いずれかの部活動の顧問をしているということです。つまり、文部科学省は、「教員は部活動をしなくてもよい」と言っておきながら、教員のほとんどが部活動を担当しています。さらに、文部科学省が出している「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」では、部活動は長時間勤務の要因と認識しています。部活動と教員の労働時間を減らすよう、文部科学省がどれだけ行動を起こしているかはわかりませんが、明らかな効果や影響は、現場や教員には現れていません。
総括
こういった現実から判断すると、教員の労働時間の問題を解消するために、文部科学省はあまりあてにならないのかもしれません。
部活動の問題は、生徒、教員、学校それぞれが抱える問題であり、解決するためには、適切で多角的な取り組みが必要です。
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