中央区の教育事情……お江戸はやっぱり「日本橋」

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 1平方メートル当たりの地価が6千万円に迫り、正に「土一升、金一升」そのものといえる、地価日本一の銀座地区を抱える中央区。都心部の宿命ともいえる人口の減少に伴い、小・中学校の統合が進んだ結果、中学校の数は一時3校にまで減少しました。しかし、都営地下鉄大江戸線の開通や東京湾臨海部での高層マンションの開発等による都心回帰で、で中央区内の人口は今や増加に転じ、昭和63年に新設された佃中を含めて中学校は日本橋中・銀座中・晴海中の4校体制となりました。

 さて、日本橋、銀座という歴史的に由緒のある地名にちなむ校名を聞けば、両校は新制中学が発足した昭和22年以来の伝統校と思われるかもしれません。しかし、日本橋中はその名称こそ新制中学発足時のままですが、実際は久松中、紅葉川中と統合して新たに発足した学校で、銀座中は中央一中、中央二中が合併してそう名付けられた、いわゆる新設校です。

 地図を見ても明らかなように、区の南部に銀座中、北部に日本橋中、そして、臨海部に晴海中と佃中が位置しています。そのバランスの良さからか、あるいはそれぞれの学校やそこに通う生徒への評価の安定性からか、他地区から最大40名を受け入れるという中学校自由選択制が導入されてはいても、地元の中学に進む生徒の多いことが現状です。ちなみに令和3年度に向けては、銀座中学のみ抽選の対象でした。

 中央区内の中学生の学力が相対的に高いのは、区の歩んだ歴史に関わっているのかもしれません。明治になり、区内の築地鉄砲洲(現明石町)にはアメリカ公使館や外国人居留地が設けられました。福沢諭吉はここに慶應義塾を開き、また、立教学院や女子学院などのキリスト教系の学校が設立され、他に先駆けて学習環境が整ったことで、教育熱が高まりました。

 また現在では、どの小・中学校にも外国籍や外国籍の親族のいる児童・生徒が在籍し、子どもたちは文化や風俗の違いを自然に学ぶ環境にいます。それらが、異文化への理解や受容が進んでいることが、深刻ないじめや非行行為がほとんど見られないという一因かもしれません。

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