「ほんとの空」はどんな空? 智恵子抄 【学校においてほしい本】

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『智恵子抄』 高村 光太郎

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始めに

 詩集を手にすることはありますか。詩や詩集を読むのは好きですか。私はあまり好きではありません。なぜなら、小説を読むスピードで詩や詩集を読むと、あっという間に読み終えてしまうため、『これでいいのだろうか』とつまらない罪悪感に襲われたりするからです。

 また、比喩か何かでしょうが、『哲学のライオン』などという題を目にすると、それだけで「理解不能」という拒否反応が生じます。しかしながら、『智恵子抄』は違います。冒頭の一行から、光太郎の描き出す詩の世界に難なく引き込まれることでしょう。

概要 

 智恵子(本名チヱ)は光太郎最愛の妻。福島県の裕福な家庭に生まれ、東京で絵画に専念しますが、縁あって光太郎と出会い、結ばれます。光太郎の一目ぼれをうかがわせる詩があり、二人は相思相愛の仲だったようです。

 『老猿』で有名な彫刻家・高村光雲を父に持つ光太郎は、父と同じく彫刻家の道を進みますが、詩の創作においても持てる才能を十分に発揮します。智恵子の死後に発行された『智恵子抄』は、光太郎にとって2冊目の詩集ですが、「抄」という漢字が物語るように、智恵子を題材とした詩の一部ということです。

 智恵子は統合失調症に冒され、転地療養や手厚い看護の甲斐なく病は進行します。付き添う光太郎は、智恵子が発する何気ない一言を一編の詩に昇華し、ついには『智恵子抄』としてまとめました。

良さ

 もっとも有名な詩は、「智恵子は東京に空が無いと言ふ」で始まる『あどけない話』でしょうか。智恵子との遣り取りを平易な言葉で表現していますが、光太郎の言語感覚に驚かされます。

 そして、智恵子の最期を描いた『レモン哀歌』。智恵子がかじっての「トパアズいろの香気」や、「すずしく光るレモン」とは、どのようなものでしょうか。

まとめ 

 収録された詩は、その数も29編と少なく、また、難解なものでもないので、私のような者にとっても親しみやすい詩集です。本という体裁を整えるためだったのか、いろいろな文章が収録された冊子や文庫本もありますが、詩だけを読み味わってもいいでしょう。

コメント

  1. 通りすがりの者ですが より:

    「ほんとの空が見たいと言ふ」と、「阿多多羅山の山の上に毎日出ている青い空が智恵子のほんとうの空だといふ」のように、「ほんと」と「ほんとう」を使い分けする光太郎の言語感覚に驚かされます。

    事実と異なりますので削除願います。

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