古語の宝庫 『坊っちゃん』 【学校においてほしい本】

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『坊っちゃん』(自筆原稿では『坊っちやん』または『坊つちやん』)

夏目 漱石著 

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始めに

 
 わが国を(明治期を?)代表する作家である夏目漱石の名を知らない人はまずいないでしょうし、『坊っちゃん』という小説名を知らない人もほとんどいないでしょう。

 さて、夏休みに向けて(?)出版社が無料で配布するPR誌では、「不朽の名作」という枕詞で『坊っちゃん』が紹介されがちですが、小説の冒頭を中学国語の教科書で「読み」ではなく、「学び」はしたものの、それを機に読了した人はどれくらいいるでしょうか。また、文章表現のおもしろさを読み味わったり、主人公や登場人物の言動に感銘を受けたりした人はどれくらいいるでしょうか。

 級友にはやされ、学校の二階から飛び降りることを始めとして、『坊っちゃん』には「親譲りの『無鉄砲』」による「損」が次々と描かれています。そうした向こう見ずな行動へ驚きや賞賛(や批評)が、『坊っちゃん』を読み進める楽しさかもしれません。

概要

 『坊っちゃん』の構成は大きく分けて3部。第一部では、腕白で向こう見ずな幼少期から下女の「清」との別れまでが描かれます。中学国語の多くの教科書に採用され、私たちの多くが学んだ経験のある部分です。父の死を境に兄とも別れ、行き当たりばったりで入学した学校を終え、求まれるまま、旧制中学の教員として四国に赴任します。

 第二部は、『坊っちゃん』の中核となる部分で、ユーモラスな(?)あだ名で紹介される教員との確執や、赴任地の飲食店や風呂場での奔放な行為や、教え子である旧制中学生とのトラブルがこれでもかと描写されています。

 第三部は、教職を辞し、帰郷した坊っちゃんと清との後日談となる部分です。

 明治時代に書かれた小説とはいえ、今なお面白おかしいお話として、気軽に手にすることのできる一冊です。

良さ 

 幸田露伴や尾崎紅葉など、明治期の擬古典主義の作家の作品と比べ、はるかに読みやすい小説です。けれど、「背戸」「へっつい」「後架」など、現代では死語ともいえる語句が散見され、国語の授業では指導の難しい作品ともいえますが、語彙を増やすことのできる文章ともいえます。さらに、旧制中学が5年制であったことや師範学校との関係など、現代とは異なる制度や仕組みを知ることで、読書の喜びに加え、第2次世界大戦前の社会について学ぶことができます。

まとめ 

 百年以上も昔に誕生した小説は、私たちにはもはや「古典」という存在でしょう。久々に辞書を引きながら、若者からは、「ググればいいんだよ」と叱られそうですが、当時の風俗を知ることのできることが、『坊っちゃん』という小説の最大の価値でしょう。ぜひ、ご一読を。

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